2019年02月19日

洗骨

 地方万歳みたいな映画は好きではないのだけど、本作は死者を悼んで骨を洗うという風習が残る沖縄ならではの作品で、命の大切さ、家族の絆をユーモア交じりに、でもみたひとを感銘させる秀作です。

 作品情報 2018年日本映画 監督:照屋年之 出演:奥田瑛二、筒井道隆、水崎綾女 上映時間:111分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2018年劇場鑑賞46本目



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 【ストーリー】
 死者を風葬し、数年後に遺族が遺骨を洗う「洗骨」という儀式が残る、沖縄の粟国島。亡くなった恵美子(筒井真理子)の洗骨のために、ばらばらだった家族が久しぶりに集まってきた。

 だが、家族はそれぞれ問題を抱えていた。故人の夫、信綱(奥田瑛二)は自分の工場が破産した上、妻に先立たれて飲んだくれの引きこもりの毎日、名古屋で働いている長女の優子(水崎綾女)はいきなりお腹を大きくして戻ってきて、シングルマザーになるという。東京でエリート社員のはずの長男、剛(筒井道隆)も何か秘密があるようで…

 【感想】
 お笑いタレントのゴリが、地元の沖縄を舞台にとった作品で、お笑いタレントらしい人を食ったような、でもあるあると納得するようなユーモアが随所に盛り込まれ、沖縄の陽光とともに、重くなってもおかしくないテーマを、しっかりと前向きな作品に仕上げました。

 例えば臨月でお腹が膨らんだ優子は、どうしたのかと驚く信綱に「太った」といいます。もちろん、そんなことは噓なのはおたがいわかっているわけで、でも、素直に妊娠したといえない事情や、妊娠しても飲んだくれの父親には相談したくないというった優子の心情、逆に父親として何ができるのか困惑する信綱といった関係が、これだけの会話でよみとれます。それでいて、「太った」と優子がいったときは、観客から笑いがもれました。

 こういうぎくしゃくする家族をしゃきっとさせるのは、信綱の姉で、一族のご意見番、信子(大島蓉子)です。バイプレイヤーの大島ですが、ここでは一族の長として信綱をたてつつ、しっかりとしめるところはしめるという、実質的な女家長という威厳をみせます。理不尽なことには理不尽といいつつ、妊娠した優子を優しく見守るという役目が初老の女性、おばあだというのも、いかにも沖縄を舞台にした映画っぽくて印象的です。また、彼女の存在で、物語の緩急がうまくつき、しまったものにします。

 そして洗骨という不思議な儀式。粟国島では島の東半分が生者のもの、西半分、すなわち太陽が落ちるところは死者のものと考えられているそうで、骨を洗うという儀式も死者の領分でおこなわれます。「気持ち悪くないのか」と聞かれることもあるのでしょうけど、愛するものを失った遺族が、骨を洗うことで思いをこらすというのは、まさに愛情の最上級の表現ではないでしょうか。そして、生きることと死ぬことについて観客も思いをはせることができるのです。

 最近は傲岸な権力者のイメージが強かった奥田瑛二が、妻を失い酒におぼれるダメ男を好演。気弱で姉や子ども達にも頭が上がらないというのには驚きました。しかし、肝心なところではぴっしりと締めているのはさすが。筒井、水崎とNHKの好きそうな組み合わせですが、それぞれ問題をかかえつつ、でも最後には家族というよりどころがある役所にうまくはまったキャスティングになっていました。村人などの脇役にはいかにも沖縄の村にいそうな、沖縄の俳優を使っており、これまた、うまいキャスティング。土着性の強みをいかした、寒い冬に心が温まる良作でした。
posted by 映画好きパパ at 07:18 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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