2019年02月24日

ファースト・マン

 今から50年前、人類で初めて月に降り立ったニール・アームストロングに焦点をあてた人間劇。アポロ計画大成功!といったエンタメではなく、延々とダウナーなシーンが流れて賛否両論なのもわかります。

 作品情報 2018年アメリカ映画 監督:デイミアン・チャゼル 出演:ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、ジェイソン・クラーク 上映時間:141分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:Tジョイプリンス品川 2019年劇場鑑賞51本目



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
 【ストーリー】
 エドワース空軍基地のテストパイロット、ニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)は、幼い娘カレンを病気で失い、心に傷を負っていた。だが、寡黙な彼は妻のジャネット(クレア・フォイ)の前でも感情を表に出さなかった。

 NASAの宇宙飛行士に応募したニールは、ジェミニ計画でも重要な役割を果たす。だが、ソ連との宇宙開発競争に遅れをとっているアメリカにとり、それは国威発揚の場であった。一方、訓練は死と隣り合わせの危険なものだった。

 【感想】
 タイトルがアポロ11でも月でもなく、ファーストマン、すなわちニール・アームストロングを表していることがこの映画をよくあらわしています。娘を失って、ずっと喪失感を抱えつつ、寡黙で妻や親友でにすら内心を打ち明けなかったニール。デイミアン・チャゼルとライアン・ゴスリングのコンビは、彼の内面に迫っていこうとさまざまな仕掛けを重ねます。

 寡黙とはいえ決して人嫌いではなく、宇宙飛行士になってからは飛行士仲間のエド・ホワイト(ジェイソン・クラーク)の隣人となり、家族ぐるみの付き合いを行います。しかし、訓練は苛酷で、犠牲者もでるほど。なぜそこまでして宇宙にいくのか。映画ではケネディの国威発揚の演説を冷ややかにみるニールのシーンが挿入されています。彼にとって、宇宙に行くというのは、自分のなかの喪失感を埋めるため、自分の生きてきた意味を証明するためだったように思えてなりません。

 そして、ニールは決して強い男に描かれていません。カレンの死はあとあとまでニールの心に傷を残しました。そして、それを自己完結しようとしたことで、妻のジャネットは余計に深い傷を負います。アポロ11号に乗り込むために自宅を出発するニールと、ジャネットや幼い子ども達の対話は、ニールという人間が地球上どこにでもいる人間と何らかわりのないことを表しています。

 ファーストマンは彼だったけど、そこにたどりつくためNASAの技術者たちや宇宙飛行士仲間など多くの積み重ねがありました。そのことをわきまえているニールは、余計内省的に見えるように描かれています。しかめっ面の似合うライアン・ゴスリングはまさにぴったりでした。

 月面でのシーンは、星条旗を立てるシーンがなくてトランプ大統領に批判されたそうですが、そういうアメリカの代表というよりも、あくまでも一人の人間として月面に立ったという点を強調しているようにみえました。だから、月面着陸の報で、世界中が沸き立ったのでしょう。その一方で宇宙開発への莫大な費用はムダだという反対運動の曲を効果的にいれたりして、単に国威発揚の場でないことをあらわしています。

 月面でのニールの行動をはじめ、フィクションだったり、本当かどうかわからないシーンもあるそうですが、だからといってそれは映画の価値を落としていません。むしろ、なぜ、こういうラストにしたのか、あくまでもファーストマンに沿った映画ということで、観客にいろんな思いを起こさせる秀作でした。
posted by 映画好きパパ at 06:53 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。