2019年03月22日

天国でまた会おう

 第一次世界大戦直後のフランスを舞台に、戦争の悲惨さや欲望にまみれた人間の愚かしさを、エスプリたっぷりに映し出した大人の映画です。

 作品情報 2017年フランス映画 監督:アルベール・デュポンテル 出演:アルベール・デュポンテル、ナウエル・ペレス・ビスカヤール、 ロラン・ラフィット 上映時間:117分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2019年劇場鑑賞78本目



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 【ストーリー】
 第一次大戦終了間際、最前線にいた兵士のアルベール(アルベール・デュポンテル)たちの部隊は、陰険なプラデル太尉(ロラン・ラフィット)の命令で、停戦命令を無視して突撃して大打撃を負う。砲弾に崩れた穴で生き埋めになりそうになったアルベールは、戦友のエドゥアール(ナウエル・ペレス・ビスカヤール)に助けられるが、エドゥアールはその際、顔の半分が吹き飛ぶ大けがをしてしまう。

 大金持ちの生まれで厳格な父親マルセル(ニエル・アレストリュプ)に反発していたエドゥアールは、仮面で顔の下半分を覆うとともに、自分の家をすて、戦死した戦友の名前を名乗ることにする。戦後、復員兵達は貧困生活を強いられていた。アルベールとエドゥアール、それに戦災孤児の少女ルイーズ(エロイーズ・バルステ)は、戦争で大儲けした政治家や金持ち相手に奇想天外な詐欺を仕掛ける計画をたてる。その標的にマルセルもいた。だが、マルセルの婿になったプラデルは、アルベールたちの計画を怪しみ…

 【感想】
 序盤の戦闘シーンは、戦争映画のように凝ったもの。終戦間際で厭戦ムードがただようなか、塹壕にとじこめられ、無表情の兵士達。そんななかエドゥアールはこまめにスケッチをして、アルベールたち戦友をなぐさめます。そこへプラゼルが、戦争を続けたいという自分のわがままのため、無謀な突撃をめいじ、戦友達は次々に倒れていきます。マクロでみれば国と国の争いでも、最前線というミクロでは、残虐な上官のせいで、死ななくても良いのに死んだ兵士というのは大勢いたのでしょうね。

 下層階級のアルベールと、上流出身のエドゥアールは本来なら友人にはなれなかったろうけど、文字通り生死をともにくぐりぬけたことで、家族以上に親密な関係になります。しかし、戦後の社会は復員兵に厳しい上に、その復員兵を金持ちはくいものにしていた。プラゼルは戦没者墓地の造営を請け負いますが、作業員に中国人を雇って人件費をけちるだけでなく、棺の大きさも小さいサイズにして、しかも、だれかれかまわずいれてしまうという非道ぶり。それを監視役の軍の幹部も市長もお目こぼしして、お互いに金儲けをはかります、心が痛くなったのは、アルベールはエドゥアールのためのモルヒネを得るため、手や足を失った復員兵から奪っていること。強い者は栄え、弱い者はさらに弱い者を襲うという構図は、現代にもつうじるところがあり、やるせなさがつもります。

 エドゥアールにとって、自分が大けがをして人生を失ったのはこんなひどい連中のせいかと思うと、それこそ怒りがおさまらなかったでしょう。そして、幼い頃から反発していた経済界の大物のマルセルも、その一人であるということは、自分にもその血が流れていると言うことでもあり、余計腹がたったのでは。エドゥアールは自分の画才を利用して、戦没者の記念碑を作るという架空事業をでっちあげて、大金をせしめようとします。

 といって、血なまぐさいシリアスな作品ではありません。エドゥアールは顔の下半分がふっとんだだめ、何をしゃべっているのかわかりませんが、唯一ルイーズだけが彼の話がわかり、通訳代わりになります。その彼女のこまっしゃくれたかわいさはなんともいえません。また、20世紀前半の、レトロでモダンなファッション、パーティーでのデカダンスな乱痴気騒ぎなど、映画的な見所がたくさん。

 さらに、戦争への憎しみや貧困と格差といった社会的な問題のほか、親子とは何かという永遠のテーマもしっかりと取り上げており、非常に見応えがあり、上手な作品だと印象づけられます。最近の邦画でも反省映画はありますが、どこかきまじめでしゃちこばったところがあり、こういう清濁併せのむようなのがなかなかないのはちょっと寂しいかも。
posted by 映画好きパパ at 07:32 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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