2019年04月28日

愛がなんだ

 ティーン向けの純愛路線と違い、最近の邦画ではちょっとメンヘルがかった主人公の恋愛映画がやたら多い。正直、そうした作品は、世評が高くても好みでなかったりするのですが、本作は素直に「巧いなあ」とうならされました。

 作品情報 2018年日本映画 監督:今泉力哉 出演:岸井ゆきの、成田凌、江口のりこ 上映時間:123分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマズ港北 2019年劇場鑑賞111本目 




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 【ストーリー】
 28歳のOLテルコ(岸井ゆきの)は、マモル(成田凌)が好きなあまりほかのことは何も手がつかず、ひたすらマモルに尽くす毎日。だが、マモルはテルコのことをうざがり、恋人とも思っていない。それどころか、年上の女スミレ(江口のりこ)との飲み会にテルコを呼び出すありさま。

 そんなテルコをみて親友の葉子(深川麻衣)はあきれるが、彼女もまた、呼び出せばすぐくる年下のナカハラ(若葉竜也)を、都合良くつかっていた。テルコはマモルと会えることだけが幸せだったのだが…

 【感想】
 「寝ても覚めても」「生きてるだけで、愛」といった感じの、ちょっとメンヘラぽい映画が昨年の邦画界では評判が高かった。でも、ティーン向けがあれだけ純愛をうたっているのに、大人向けになると、なんでこんなにというのが不思議でなりませんでした。本作も登場人物はほぼ全員メンヘラが入っているのですが、なぜ、気にならなかったというと、メンヘラなのに格好付けているような他の映画と違って、人を好きになること、さらには生きることの格好悪さに正面から向き合っているから。そういう意味では、僕のお気に入りの「勝手にふるえてろ」と通じる部分が歩きがします。

 テルコはマモルのことを思うと、ほかに何にもできなくなってしまう。なぜそこまでマモルが好きなのかというのが、実はそれほど提示されていないのもいい。テルコ本人に共依存の体質があったのでしょうし、追いかけても手に入らないマモルに費やした自分の心を埋めるために、マモルを追いかけることが目的化しちゃったのでしょう。

 一方のマモルはすごくダサイ。テルコのことを都合良く利用した上ウザがっているのに、それと同じコトをスミレにしている。さらに葉子もクールぶってテルコに意見しているくせに、自分のやっていることはかっこう悪い。スミレもそうで、いきがってバーベキューを計画しても、来たのはマモルとおまけのテルコ、さらに無理矢理こさせられたナカハラと、人望がないことが露呈している。そんなかっこう悪い人たちが、必死に生きようとしていて空回りして、それでも世界は動いているという突き抜けた感じがたまらなく愛しくなります。

 岸井の正直ながら特徴のある顔立ちは「不思議ちゃんというより不気味ちゃん」と葉子にあきれられるほど、いっちゃったテルコによくあっています。成田凌も微妙なイケメンで、こういう変な役がよくあうし、若葉竜也も同様。そして、深川麻衣のこれまたヒロインの親友役でサバサバしてそうで、実は…というのは臼田あさ美の後継になりそうだし、江口のりこの貫禄がしっかりしめてくれます。この当て書きとすら思えるほど、役にはまった役者たちの演技合戦も見所です。

 僕にとって、美男美少女のお花畑っぽい少女漫画でも、変に斜に構えすぎたサブカル的映画でもない、ちょうどいい立ち位置の恋愛映画といえましょう。そして、こんなぼくのざれごとをぶったぎるような、ラストカットには思わず拍手したくなりました。いや、本当に巧い作品でした。
posted by 映画好きパパ at 06:57 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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