2019年05月07日

 若手監督によるありがちなバンド映画かと思いきや、途中から話がどんどん変わっていき、こちらの予想というか、映画の定番をはずしぱなし。何とも不可思議な感触でした。

 作品情報 2019年日本映画 監督:高橋朋広 出演:桜田通、福田麻由子、笠松将 上映時間:120分 評価★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2019年劇場鑑賞120本目 



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【ストーリー】
 元インディーズバンドの岡浜慎平(桜田通)は、彼だけがメジャーデビューに誘われバンドが解散したことを悔やんでいる。今は元追っかけの加瀬ゆかり(福田麻由子)のヒモ状態で、仲間だった黒須彰太(笠松将)にバンド再結成をもちかけるがすげなく断られる。

 ところが、彰太から自分の仕事を手伝えば、バンド再結成に協力するといわれる。その仕事は何と老人相手の詐欺だった。一方、ゆかりから妊娠したので結婚してほしいと告げられた慎平は、思わず逃げ出してしまう…

 【感想】
 バンドが解散して、なんだかんだあって再結成かという作品ではなく、格差社会において夢をおいかけることの困難さ、それから生命の大切さといったいくつものテーマが混然一体となっていて、こちらの頭を惑わせます。いや、こういう予想のつかなさって嫌いじゃないのだけど。

 若手のキャラがすべてどこかおかしく、自分がやっていることが詐欺だとなかなか気づけず、気づいたあとでも彰太とのバンド再結成ばかりかんがえる慎平、完全にメンヘル、ストーカーの域にはいっているゆかり、平然と犯罪を繰り返すサイコパスチックな彰太と、まあ、よくもそろえたもの。定番的には主要登場人物のだれか一人はまっとうなんですけど、そういうことが一切ないのも潔い。逆に、慎平の母(西田尚美)とか、倒れたゆかりを助けるタクシー運転手(ダンカン)ら大人で地に足ついた登場人物もでてくるのですけど、若いうちは本当にもがいておかしくなる、といったことの表れでしょうか。

 また、経済格差も背景にあり、高校時代はバンドを組んでいてスクールカーストのトップだった慎平と彰太が、高校時代は底辺だったのに株で成功した同級生のダビデ(清水尚弥)との地位の逆転にあせりを覚え、一発逆転を狙って犯罪に手を染めるなど、まさに勝ち組負け組の世の中の象徴のようでした。

 そして、親になることの偉大さ。タイトルの「ラ」は、演奏前のチューニングの音であるとともに、赤ちゃんの泣き声も「ラ」であるそうで、そのダブルミーニングが重層的なテーマを象徴しているわけです。

 福田は子役当時の面影を残しつつも、こういうメンヘル的な役柄をするのかとちょっとびっくり。桜田、笠松といった若い出演者ともうまいアンサンブルとなっています。高橋監督はデビュー作になりますが、今後どういう作品をつくるのか楽しみです。
posted by 映画好きパパ at 06:51 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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