2019年05月09日

希望の灯

 経済格差のあるドイツで、労働者階級のありのままを描いた社会派作品。ただ、大きな事件があるわけでもなく、日常を淡々と描くだけなので、それほど印象に残らなかったというのが正直なところです。

 作品情報 2018年ドイツ映画 監督:トーマス・ステューバー 出演:フランツ・ロゴフスキ、ザンドラ・ヒュラー、ペーター・クルト 上映時間:125分 評価★★★(五段階) 観賞場所:渋谷文化村ルシネマ 2019年劇場鑑賞122本目 




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 【ストーリー】
 内気な青年クリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)は、巨大スーパーで飲料の在庫品係として働くこととなる。親分肌のベテラン、ブルーノ(ペーター・クルト)の部下となり、時には厳しく指導されながらも深夜の店で懸命に働くクリスティアン。やがて同僚で年上のマリオン(ザンドラ・ヒュラー)にひかれるようになるのだが。

 【感想】
 美しいワルツの名曲「美しき青きドナウ」とともに店内をいきかうフォークリフトで始まり、凝った構図の映像を楽しめるのかとわくわくしましたが、物語が地味なので次第に眠気と戦うように。心に刺さる人と刺さらない人に分かれる作品ですが、残念ながら僕は後者のようです。

 旧東ドイツの経済的に取り残された地域で、スーパーの店員というたいして給料も高くない仕事につくひとたち。資本の象徴であるスーパーで店の歯車でしかないブルーノらが、東ドイツ時代を懐かしむのは、若かりしころの思い出補正があるとはいえ、今のグローバル化時代を表す格差の象徴なのでしょう。

 といって、労働者だから虐げられているわけでもなく、保存期限の切れて廃棄処分しなければならない食材でバーベキューを開いたり、店内恋愛があったり、彼らなりに人生を楽しむすべはあるわけです。運転できなかったフォークリフトが動くようになればうれしいわけですし。そうした日常に希望の灯りがともっているわけです。もっとも、店内恋愛部分もいかにも現実っぽいシビアな部分もあり、希望の灯りというにはちょっときつい気持ちもしましたが。

 それでも、社会構造そのものへの怒りにつながらないのは、共産主義を倒して未来あふれるはずの資本主義でも負け組がいるという冷酷な現実への諦観でしょうか。終盤、ちょっと所キングな出来事がおきますが、それを含めて全体的にながれる虚無感、やるせなさは、人生に疲れた観客の心にも届いて、世評が高い一因でもありましょう。

 フランツ・ロゴフスキはインパクトのある、失礼ながら悪役顔をしていますが、日本での前作、「未来を乗り換えた男」同様、運命に流される人生を諦観している役がよく似合ってました。
posted by 映画好きパパ at 07:19 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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