2019年05月28日

僕たちは希望という名の列車に乗った

 冷戦で引き裂かれたドイツの高校生達の実話。平和な時代からはかんがえられない重い決断を10代で迫られたとはどういうことなんでしょう。原作本を読めば分かるかもしれませんが、その後の彼らの歩んだ道のりを知りたくなりました。

 作品情報 2018年ドイツ映画 監督:ラース・クラウメ 出演:レオナルド・シャイヒャー、トム・グラメンツ、ヨナス・ダスラー 上映時間:111分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2019年劇場鑑賞140本目




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 【ストーリー】
 1956年の東ドイツの高校に通うテオ(レオナルド・シャイヒャー)とクルト(トム・グラメンツ)は親友同士。勉強、スポーツ、恋と青春を謳歌していた。ある日、西側のラジオ放送を傍受してハンガリー動乱で多くの犠牲者が出たことをしったクルトは、クラスで犠牲者のために2分間の黙とうをしようと提案する。

 多数決で黙とうが決まった。だが、ソ連の支配のもとにある東ドイツで、それは国家への反逆行為だった。政府が調査に乗り出し、首謀者の名前を言うように命令する。従わなければ全員退学処分になるというのだ。友人を密告してエリートへの道を歩くか、それとも友情を守って将来の道を閉ざすか。生徒達は重たい選択を迫られる。

 【感想】
 ソ連は正義の味方であることになっていた東ドイツでは、自由を求めて戦ったハンガリーの民衆を悼むことは許されない行為です。青年らしい青臭い正義感と、軽いノリで行った行為が、生涯を左右するほどの大きなことになるとはだれも、思わなかったでしょう。人生何があるかわからないですし、まして共産主義、独裁主義の国で自分の思うように生きることは極めてハードゲームです。

 最初は事態を重く思わなかった生徒たち。しかし、政府の高圧的な態度に反感を覚えるようになります。これもまた若者の特権なのでしょう。なにしろ、政府は彼らを退学にするだけでなく、親をクビにするとか脅かすのです。しかも生徒のうちテオら大部分は庶民の子どもですが、クルトの親は市議会議長という有力者。クルトをかばおうとする政府側の態度も子ども達には見透かされます。

 さらに、第二次大戦で親がどういう行動をとったかも大きく、ナチスの子どもといじめられる生徒もいれば、親が英雄だと自慢する子どももいます。こうした感覚は今では信じられないですが、当時の彼らにとってはアイデンティティだったわけです。それでも、サッカーに夢中になり、恋話で盛り上がり、女の子に話かけるとドキドキする当たり前の青春がころがっていました。そして、テオのように貧しいながらも家族と仲良くする描写も見受けられます。そうしたすべてを踏みにじる独裁国家の残酷さというのがなんともやりきれません。

 高校生役の俳優たちはもちろん東西ドイツに分裂していたころの記憶などないですが、「アイヒマンを追え」など現代ドイツ史をテーマにするラース・クラウメ監督に鍛えられたそうで、旧東ドイツ出身者を集めた親世代の俳優たちとともに、見事に当時を体現しているようにみえました。こういう重厚な作品はドイツ映画ならではだと思わされます。
posted by 映画好きパパ at 07:32 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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