2019年06月09日

僕はイエス様が嫌い

 ジュナイブルで小学生の友情、親子関係が中心の成長物語ですが宗教的、哲学的な要素もあり、邦画にしては珍しくいろいろ考えさせられます。大人であり、親である僕からすると、何ともエモい気持ちにさせられました。

 作品情報 2019年日本映画 監督:奥山大史 出演:佐藤結良、大熊理樹、チャド・マレーン 上映時間:76分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2019年劇場鑑賞153本目



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 【ストーリー】
 親の転居で雪国のキリスト教系の学校に転校してきた小学校5年生の星野由来(佐藤結良)。礼拝など初めてのミッション系の学校はとまどうことばかり。そんなある日、彼の目の前に身長わずか数センチの小さなイエス様が現れる。思わず「この学校で友達ができますように」とお祈りした。すると、クラスメイトでサッカーが得意な大隈和馬(大熊理樹)が「サッカーすき?」と話しかけてきて、2人はすっかり盛り上がる。

 さらに「お金をください」と願うと、祖母(たたのあっ子)が1000円の小遣いをくれた。小さなイエス様となじむ日々が続いていたのだが…

 【感想】
 小学校5年にしては想像力が豊かな由来ですが、それだけにイエス様の存在を信じられて、なおかつ自分の身近なところにいると聞いて、小さなイエス様を思いついたのでしょう。友達ができたのも、お小遣いをもらえたのも、イエス様にお祈りしたからだと信じる由来を笑うのは簡単でしょうが、すべての宗教の根本とはそういうものであり、意外と奥が深いのです。

 特に後半にいくと由来が成長せざるをえなくなり、それに伴って小さなイエス様のありかたというのも変わっていきます。終盤は完全に見方が観客によって異なってくるのだけど、冒頭のシーンのロングパスがみごとにつながる伏線の巧みさは、奥山監督が長編初監督とは思えない手練れさです。笑えて切なくさせて、そしてほっとさせて。みているこちらの感情がまるで監督の手のひらの上で操られているよう。

 撮影についても評価が高いのですが、僕自身は技術的なことはあまりわからないのだけど、むしろ、小津といったらほめすぎですけど、ホームドラマというものを真っ正面から描いているのには好感をもてました。

 なんと言っても子役2人がいい。小さなイエス様とたわむれる由来もいいけど、和馬とサッカーをしたり、人生ゲームをしたり。さらに和馬の別荘に泊まりに行き、和馬の母親(佐伯日菜子)へのほのかなあこがれ、というのもこの年代の少年らしくてよくあらわしていました。一方の和馬も運動も勉強もできるクラスの人気者だけど、どこか父親不在の寂しさがあり、転校したばかりで友達のいない由来にも声を掛ける優しさがあります。こういう少年時代の友情で、しかも、この手の作品でありがちないじめとか犯罪とかがないのも心地よい。

 何よりBGMに賛美歌が何曲も流れるのだけど、少年合唱団による曲を聞いていると、こちらの心も透き通るようです。そして、そんな軽やかな衣の中は、宗教とは何か、子どもの成長とは何かという根源的な部分を描いているというのも、また素敵な作品でした。ただ、この作品を作品あらしめたる後半部分が、よくできているがゆえに、ちょっと動揺してしまったところもあり、子どもを連れてまた観に行きたいかというと疑問かもしれません。
posted by 映画好きパパ at 08:56 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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