2019年07月13日

Girl/ガール

 トランスジェンダーの少女の葛藤を、渇いたタッチで描いたカンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞作。フランス映画っぽい抑制された描写ですが、ガラスのように切なく透き通った印象を与えてくれました。

 作品情報 2018年ベルギー映画 監督:ルーカス・ドン 出演:ヴィクトール・ポルスター、アリエ・ワルトアルテ、オリヴィエ・ボダール 上映時105分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2019年劇場鑑賞194本目 



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
 【感想】
 15歳のララは男性の体を持ちながら心は女性のトランスジェンダー。シングルファザーのマティアス(アリエ・ワルトアルテ)と小さな弟のミロ(オリヴィエ・ボダール)と暮らしている。バレリーナ志望のララは難関のバレエ学校に転校した。

 他の生徒と違って、基礎から猛練習な必要な一方、女性化のためにホルモン治療をとっており、体力的にも限界が来ていた。そのうえ、あからさまな差別はなかったものの、奇異の念でみる周囲の目や、考えの違いが彼女を次第に消耗させていく…。

 【感想】
 トランスジェンダーが少数派ということもあり、周囲はどう接していいのかとまどってしまいます。日本より一般的なためか、性転換のための治療は15歳ですでに行われていますし、マティアスもララのことを気に掛けています。バレエ学校でも、女子更衣室で着替え、女子の衣装で練習をします。

 しかし、それでもララの心と微妙な食い違いがでて、そのずれはだんだん大きくなります。ただでさえ15歳の娘と父親の関係は難しいのに、トランスジェンダーであるがゆえに、過保護ともいえるような気遣いを見せる父親がうざくてたまりません。また、自分の悩みを打ち明けても、父が本当に理解してくれるかの自信もありません。

 友人もそうです。同級生からみれば、トランスジェンダーと出会った経験はないですし、女の子同士なら恥ずかしがらずに一緒にシャワーを浴びたり、裸をみせあったりしようといいます。これは親切心で言っている部分と、意地悪な気持ちでいっている部分と両方があるのでしょう。思春期の友人同士が性的な話で盛り上がるというのは男女問わず変わらないでしょうが、ララの前では気をつかっていえなくなるし、壁を乗り越えようとすれば、多少強引な押しつけにもなってしまいます。

 ララはそんな周囲の見当外れ菜気遣い、無理解が自分の力ではどうしようもないから、静かに笑っているしかありません。彼女の何もかもあきらめたようなほほえみをみると、周りからすれば壁を作られたように感じてしまい、事態はさらに深刻になります。特にシングルファザーで子供2人を育てなければならないマティアスは、なまじ善人だけにどうしたらよいかわからなくなります。

 僕自身、トランスジェンダーの友人はいないので、身近にいたらどうなるのか自信がありません。そんな世の中で生きるララの少しずつ削り取られる希望がなんと痛々しいのか。しかも股間にテープをはり、女性用のトゥーシューズは血まみれになり、肉体面でも目を背けたくなるような描写が続きます。ラストは賛否あるでしょうが、僕には正直よくわかりませんでした。

 ビクトール・ポルスターはベルギーの男性ダンサーで、ララでは女性になりきっており、映画初出演とは思えません。ルーカス・ドン監督も長編デビュー作であり、まさに奇跡のコラボといえる作品でしょうか。
posted by 映画好きパパ at 18:30 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。