作品情報 2018年フランス、スペイン、ベルギー、ルーマニア、アメリカ映画 監督:ジャック・オーディアール 出演:ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ギレンホール 上映時120分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2019年劇場鑑賞196本目
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【ストーリー】
1851年のオレゴン。イーライ(ジョン・C・ライリー)とチャーリー(ホアキン・フェニックス)のシスターズ兄弟は、町を牛耳る提督(ルトガー・ハウアー)の配下で、冷酷な殺し屋として恐れられていた。
ある日、2人は提督からウォーム(リズ・アーメッド)という男を始末するよう命じられる。提督の部下のモリス(ジェイク・ギレンホール)が逃げたウォームを監視しており、2人はまずモリスと連絡をとることにする。ところが、ウォームは川から簡単に金を発見する薬を発明した化学者であることをしり…。
【感想】
オーディアール監督前作の「ディーパンの戦い」のような緊迫したアクション。特に夜間真っ暗で銃声と銃の発光音だけが見えるアクションとかしびれますね。こういう演出をするのはすごい勇気かも。さらに馬上での銃撃戦とか、岩場での銃撃戦とか、よくある西部劇の酒場の前の一本道でのアクションではなく、実際にもこうだったなというアクションが多いのはうなりました。
また、シスターズ兄弟が凄腕の殺し屋だけど、欲にも女にも弱く、しょせんは組織の使い捨てという立場なところもおいしい。さすがに無関係の人を襲うほどひどくはないけれど、敵とにらんだら徹底的に殲滅する。でも、幼い頃に父親から受けたトラウマをひきずるし、醜男のイーライは、女にちょっとやさしくされると舞い上がるくせに変な性癖があるなど、いわゆるヒーローではなく、腕っ節が強いだけの弱点だらけの2人です。
さらに兄弟とはいえ他人だから嫉妬をしたり、でも離れられなかったり。そういう一筋縄ではいかない人間関係は本当にうまい。それゆえに、すかっとする単純なアクションを期待すると肩すかしをうけるでしょう。さらに、リアルぽさというのか、食中毒で吐いてしまうなど、汚い場面もそこそこあります。それが笑いを誘う部分なんですけど。
一方、ウォームはリズ・アーメッドが演じているので、インドあたりの出身者なんでしょう。当時、白人以外がどんな扱いを受けたのか不明ですが、そのウォームが一番、純粋で理想をもっているというのが、これまた現代の西部劇っぽい。欲得まみれで愚かな白人よりも、有色人種のほうがまっとうな知識人なわけです。アーメッドは「ナイトクローラー」でギレンホールの悪の理想にこき使われる助手役で共演していますが、本作はウォームの理想にモリスが引っ張られるという感じで、このへんのキャスティングも面白かった。
ただ、全般的に明るくすかっとした部分がないから、アメリカで受けなかった(制作費3800万ドルで興行収入は1000万ドル)というのもわかるなあ。アメリカのエンタメというよりも、ヨーロッパ映画テイストが色濃くでた作品でした。
【2019年に見た映画の最新記事】