2019年07月17日

いちごの唄

 ちょっとコミュ障っぽい青年の、なんともモヤるような恋愛映画。一種の現代のファンタジーといえるかもしれませんが、こういう柔らかな雰囲気に浸るというのもいいですね。
 
 作品情報 2019年日本映画 監督:菅原伸太郎 出演:古舘佑太郎、石橋静河、和久井映見 上映時114分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2019年劇場鑑賞199本目



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 【ストーリー】
 心優しいがちょっとコミュ障っぽい青年コウタ(古舘佑太郎)は、七夕の日、東京で偶然中学校の同級生、天野千日(石橋静河)とばったり再会する。静岡での中学時代、コウタは親友の伸二(小林喜日)とともに、彼女のことを女神とあがめていたのだ。しかし、伸二は彼女を守って事故死していた。2人が再会したのは命日だったのだ。

 近くのラーメン屋に入り、話が弾んだ2人はこれから毎年七夕の日にここで再会することを約束する。そして、何年も会ううちに、次第に彼女への恋心が募っていくコウタだったが…

 【感想】
 あまりにも女性慣れしておらず、コミュ障のきわみのコウタに最初はイライラしつつ、彼の優しさと臆病さをみるにつれ、次第に応援したくなっていきます。中学のころのあこがれの女性にばったり出会い、自分のことを覚えてもらっていたらどんなにうれしいか。みっともないこともはずかしいことも含めて、つい、いろいろなことをしゃべるコウタ。

 そんなコウタに対して千日のほうが余裕があるミステリアスな女性にみえました。しかし、千日の悲しみは彼女の心を閉ざしており、コウタによってむしろ彼女が救われていたのです。このへんは、なまじコウタがコミュ障だから成り立つものといえ、最初の図面ががらりと変わるのは、さすがベテラン岡田惠和の脚本です。

 コウタを巡る人たちも、また、優しく彼を見守ります。ときには災難めいたラッキーなことはありますが、みんなコウタが善人だから、おかしなことをしたくないのでしょう。光石研、岸井ゆきの、和久井映見、宮本信子、蒔田彩珠といった新旧の芸達者な面々が彼の周りを取り囲み、コウタだけにちょっとずれつつも、人の優しさをおもいださせてくれます。

 もう一つ、中学時代の3人を演じた俳優もよかった。とくに千日役の清原果耶の透き通るような透明感、コウタ役の大西利空の、彼だったら大人になったらああなる、とわからせる純朴だけど天然な演技はみていて心にすっと入ってきます。

 銀杏BOYZの楽曲をモチーフにしているだけに、カギとなるラーメン屋を峯田和伸が演じてるけど、これは出落ちに近いかな。東京・中野の庶民的な町と、静岡の田舎町の風景もこの作品にはあい、日本映画らしい繊細な優しさというものを堪能できました。
posted by 映画好きパパ at 07:47 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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