2019年07月18日

凪待ち

 白石和彌監督と香取慎吾主演の組み合わせで、予告編からして蘇る金狼のようなえぐいアクションと思いきや、とことん駄目な男の喪失と再生の物語になっていて、いい意味で驚きました。

 作品情報 2018年日本映画 監督:白石和彌 出演:香取慎吾、西田尚美、恒松祐里 上映時124分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷 2019年劇場鑑賞200本目



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 【ストーリー】
 競輪にはまってギャンブル依存症になった木野本郁男(香取慎吾)は勤務先をクビになり、内縁の妻亜弓(西田尚美)の実家である宮城県の漁港へ、亜弓と彼女の娘美波(恒松祐里)とともに引っ越した。

 亜弓とギャンブルはやめて真面目に働くと約束したが、田舎町でも車券が買えることを知り、徐々に自堕落な生活に陥る郁男。だが、なかなか帰らない美波を探す途中に郁男と亜弓は喧嘩別れしてしまう。そして、その晩、亜弓が何者かに殺され…

 【感想】
 どうしようもないクズだと自分でも分かりながら、堕落への道を止められない郁男。閉鎖的な漁港の、まさに凪ともいえそうな生暖かいけどよどんだ空気が、そんな彼の周りに巻き付きます。そして、それすらいいわけにならないくらい、ギャンブルにはまっていく彼の姿は何とも哀れでやりきれません。

 白石流ハードボイルドなら、ここで郁男が目覚めて真実を追及し、復讐に走るというものを期待します。しかし、ある意味リアルですが、郁男は亜弓が死んでも自堕落な生活から立ち直れません。亜弓が残したへそくりですらギャンブルにつぎこんでしまいます。そして、そんな郁男を利用して、ギャンブルの道にますますはめようとするノミ屋や同じような競輪仲間。ああ、人間ってこうして堕落していくんだなというのがよくわかります。

 一方で、郁男と仲良くやっていた美波や、最初は郁男を無視していたものの、亜弓の愛した男だということで、ぶっきらぼうながら肝心の所で助けてくれる亜弓の父、勝美(吉澤健)、そして、勝美の友人で、郁男の世話をなにかとしてくれる小野寺(リリー・フランキー)といった面々は、なんとか郁男を助けようとします。そこまでしなくても、亜弓が死んだから赤の他人なのに、と思う気もしますが、やはりほっておけないところが彼にはあったのでしょうね。

 犯人捜しというよりも、人として大事なものを失い、愛するものを失ってますます悪化した人間がどうなるか。香取慎吾は芸歴が長いけど、こういう文芸っぽいので主役は初めてではないでしょうか。筋肉質の体もブルーワーカーにあっていますし、喧嘩には素人だけど切れやすいという役柄にも説得力があります。また、陰々滅々とした雰囲気の中、恒松祐里の現代娘らしい陽性の部分は一服の清涼剤のようでした。なかなか見応えのある作品です。
posted by 映画好きパパ at 07:44 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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