作品情報 2019年日本映画 監督:深田晃司 出演:筒井真理子、市川実日子、池松壮亮 上映時間111分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2019年劇場鑑賞230本目
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【ストーリー】
訪問看護師の白川市子(筒井真理子)は周囲からの信頼も厚く、恋人の戸塚(吹越満)との結婚を間近に控えていた。訪問先の大石家では 介護福祉士希望の長女・基子(市川実日子)に勉強を教える傍ら、寝たきりになっていた祖母の塔子(大方斐紗子)の世話をかいがいしくしていた。
ところが、大石家の次女のサキ(小川未祐)が何者かに誘拐される事件が発生。市子も知らずに巻き込まれてしまう。白熱するメディアの取材に生活をめちゃめちゃにされる市子だったが…。
【感想】
事件が落ち着いた後、市子が髪を切りに行った美容院の美容師、米田(池松壮亮)と徐々にかかわるうちに、事件を回想していく形式です。おおかたの予想通り、米田もある意味関係者で、それは早い内にわかるりますが、それも含めて、物語は現在と当時を行き来しつつ、静かにでもギリギリと進んでいきます。
主人公である筒井に、相手役というべき市川ががっぷり4つになり、見応えのある演技合戦となりました。市川はこういう役が本当にうまい。一方、物語の大きなテーマである報道被害なんですけど、わりと映画とかでよくある描写なので、ちょっと典型的に思えてしまいました。展開からいって報道被害に時間を割くのはわかるのだけど、もうちょっと基子と市子の関係の部分をじっくり描いてほしかった気もします。
実際にこの程度の事件で、週刊誌ならともかくテレビや新聞が大量に集まるというのは考えにくく、そこらへんがお話のためのお話という気もしました。ただ、自分ではどうにもならないことに翻弄され、ささやかな幸せがどんどん失われていくのと、うっかりした行動が他人の悪意を呼ぶことに気づかないという鈍感さは、いかにも現実的とも思えました。
筒井はいかにもどこにでもいそうな中年女として、「淵に立つ」同様深田監督作品のヒロインとなっていますが、正直、池松ほどの若いイケメンが彼女のどこに魅力を感じたのかというのは微妙。もっとも男女の仲は不思議なことだらけなので、それもまた現実的なのかもしれませんけどね。見応えがあるけど、観た後しんどい作品でした。
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