2019年08月19日

ゴーストランドの惨劇

 アメリカが舞台なのだけど、フランス風な独特で沈鬱な雰囲気を漂わせるバイオレンス・ホラー。ホラー映画好きにはプロットが予想できてしまうのだけど、丁寧にとられていて、じっくり楽しめました。

 作品情報 2018年フランス、カナダ映画 監督:パスカル・ロジェ 出演:クリスタル・リード、アナスタシア・フィリップス、エミリア・ジョーンズ 上映時間91分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2019年劇場鑑賞241本目



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 【ストーリー】
 シングルマザーのポリーン(ミレーヌ・ファルメール)とティーンエイジャーの娘ベス(エミリア・ジョーンズ)とヴェラ(テイラー・ヒックソン)は、田舎の叔母の家を相続して引っ越した。そこには、人形やアンティークにあふれかえる不気味な家だった。その晩、2人組の暴漢が家に侵入してきて3人は激しい暴行を受けてしまう。

 10数年後、大人になったベス(クリスタル・リード)はホラー作家となって、その日の出来事を描いた「ゴーストランドの惨劇」はベストセラーになる。しかし、事件以来、精神に偏重を起こし、家に閉じこもりだったヴェラ(アナスタシア・フィリップス)からただならぬ電話を受け、久々に惨劇があった家に帰る。ポリーンはいつも通り暖かく迎えてくれたのだが…

 【感想】
 田舎町を走る3人の車を不気味なキャンディー販売車が煽る。ホラー好きな僕は「ジーパーズ・クリーパーズ」を想起しました。まあ、「激突」はじめ、もはや定番ですよね。さらに不気味なアンティークであふれている屋敷は劇中で突っ込まれるようにロブ・ゾンビ的なホラー感満載で、暴漢がこなくてもなにやら不吉な雰囲気があふれます。

 2人組の暴漢も、いかにもいっちゃっている。ハゲで巨漢なデブ(ルブ・アーチャー)と、妖怪人間ベラそっくりの長い黒髪に真っ青な顔をした女装の男(ケビン・パワー)。昼間でもこんなのに出会ったらびっくりだけど、真夜中にいきなり不気味な屋敷で襲われたら、男の僕でも小便ちびっちゃいそう。まして、ティーンエイジャーの女の子達はどれほど恐かったでしょう。

 そして、10数年後に心に激しく傷を負ったヴェラと、ホラー作家として成功しつつ、惨劇のあった家に母と姉を置き去りにして、自分だけ都会で幸せな家庭をもっていることに内心引け目を感じてるベス。この姉妹の互いに対する何とも言えない愛憎も、家族ドラマとして秀逸な展開になっていきます。ポリーンの達観したような行動も、なるほどなという感じ。トラウマホラーとして宣伝しているけど、観ている分に怖さを与えるトラウマよりも、家族が受けたトラウマにどう立ち向かうかという印象を受けました。

 ホラー好きなベスは、古典的なホラー作家ラブクラフトにあこがれているという設定ですが、ラブクラフトの世界観とはずれているような。それでも、そういう落ち着いた感じのホラーというところでは一緒かもしれません。なお、ティーンパートと、大人パートをベスとヴェラは別の女優が演じているのですが、雰囲気がそっくりで最初は気づきませんでした。ただ、ティーンのベスはぼこぼこにされても美形なのに、ヴェラは結構醜いメイクになっていたのは、あとの展開と関係有るとは言えちょっとかわいそうかも。暑い夏にホラーがみたいという人にはいいかもしれません。
posted by 映画好きパパ at 07:11 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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