作品情報 2017年カナダ映画 監督:フランソワ・シマール 出演:グレアム・ヴァーシェール、ケイレブ・エメリー、リッチ・ソマー 上映時間106分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマカリテ新宿 2019年劇場鑑賞254本目
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【ストーリー】
1984年、アメリカ・オレゴン州では連続少年失踪事件が起きていた。郊外の町に住む15歳のデイビー(グレアム・ヴァーシェール)は、夜、仲間達と鬼ごっこ(ドロケイ?)をしているとき、隣の中年男が一人住む家に少年がいるのを目撃してしまう。次の日、行方不明者の写真をみたデイビーは驚いた。少年は失踪事件の被害者だったのだ。
だが、隣人はデイビーの両親とも仲の良い、物腰の柔らかい警官のマッキー(リッチ・ソマー)だった。大人達にマッキーが連続殺人犯だと言っても信じてもらえない、と思ったデイビーは、デブでお調子者のウッディ(ケイレブ・エメリー)、革ジャンの不良イーツ(ジュダ・ルイス)、メガネでオタクのファラデー(コリー・グルーター=アンドリュー)の同級生3人と一緒に、マッキーが犯人である証拠をつかもうと、子ども達だけで独自に捜査を始めるのだが…
【感想】
15歳の夏休み。友達とだべってたり遊んだりして、永遠に続きそうで、自分自身も大人になりかけたと自信もついている時期。デイビーたちも4人で集まってエロ本に興奮したり、トランシーバーや自転車で遊び回ったり、このとしごろの夏を謳歌していました。さらに、デイビーの隣に住むちょっと年上の美少女ニッキー(ティエラ・スコビー)が4人の心をかきまわします。デイビーが子供の頃に子守をしてもらったこともあり、淡い初恋の相手だったのです。
そんなやんちゃ盛りの4人にとって、連続殺人犯が隣人かもしれないというのは大ニュースです。捕まえれば一躍町のヒーローになれると、まさに厨二病的な発想で頭がいっぱい。しかも、自分たちを信じてくれない大人をギャフンといわせられるのですから。名探偵が真相追及というよりも、夏休みの一大イベント。そのうえ頭から批判する大人と違って、ニッキーとも接近するきっかけになったのだから、デイビーにとっては無敵感でいっぱいだったのでしょう。
しかし、所詮子供の力は限られています。4人の中にも親が離婚の危機だったり、経済的にくるしかったりすると、いやおうなしにそれに引きずられることになります。さらに、デイビーは「月世界にナチの秘密基地」とか「ハレー彗星で地球壊滅」とか、都市伝説マニア。このころはパソコンもなく、そんなタブロイドとか子供向けの図鑑が人気を呼び、僕も夢中になった記憶がありますが、そんな都市伝説マニアだから、周囲の大人も彼の話を眉唾で聞いています。体は大きくなっても、子供の限界というものも感じさせられる、青春映画の秀作でした。
さて、4人の捜査は素人だからいきあたりばったり。マッキーが怪しそうな証拠を見つけたと思ったら、疑惑を晴らすような証拠を見つけたりして、観客も彼が犯人かどうかクライマックスまでわかりません。この手の子供が隣人の犯罪を見つける映画って、隣に引っ越してきた人が怪しくて、実は犯罪者だったりはなはだしい場合は吸血鬼だったという、住民の流動性が激しいアメリカならではのプロットなのだけど、本作の場合、町の顔になっている警官が疑惑の相手だから、観ている僕もどちらのか最後までわからなかったのですよね。このへんのミステリーとクライマックスの緊迫したホラーチックな描写もグッド。
そして、エピローグが何ともエモい。一夏の経験をへて、少年は大人になったという言葉がぴったり。よく、冒頭が現在でそのあと過去に戻る形式の作品があり、この作品も一種、そういう感じなのですが、それが実に効果的にきいています。
少年4人は、観客にわかりやすいように、それぞれキャラがはっきりしていて演じる方もそれぞれに肩入れできました。何より、ティエラ・スコビーの美少女ぶりが素晴らしい。年下の少年達はからかう一方、寂しさをほろっとみせるなんて、まさに理想の隣のお姉さん。80年代のバナナラマといった音楽やファッションも青春ものとして、本当に切なく感じさせてくれました。
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