2019年09月06日

アイムクレイジー

 取り繕った社会では息苦しく感じてしまう若者の成長物語ですが、いろいろな要素を詰め込んでいて、それぞれ面白く転がる一方、自分のなかに消化するのに苦労しました。

 作品情報 2019年日本映画 監督:工藤将亮 出演:古舘佑太郎、桜井ユキ、曽我部恵一 上映時間86分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:渋谷シアターイメージフォーラム 2019年劇場鑑賞260本目




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 【ストーリー】
 くだらない曲ばかりがうれる世の中に嫌気がさし、ミュージシャンの佑樹(古舘佑太郎)は音楽の道を諦めようとしていた。ところが、ラストライブの日、作曲家の美智子(桜井ユキ)の車にはねられてしまう。病院へいこうという美智子の申し出を断り、ライブ準備のためにバイト先のカフェへいった佑樹は、離婚調停中で女手一つで育てている美智子の幼い息子・健吾(佐々木聖輝)の面倒をみるはめになってしまう。

 ところが、健吾は広汎性発達障害で会話ができず、目を離すとすぐにどこかへ言ってしまった。ライブのリハーサル中に、会場に連れてきたはずの健吾がいなくなり…

 【感想】
 事前の情報では音楽映画とおもって見に来たら、子育てや女性活躍の話になり、行方不明の子供を捜す話になり、そしてプチロードムービーになると、話が二転三転しました。上映時間が短いためか、よく言えばテンポが良いのですが、ぼくのようなおじさんからすると、一つ一つのエピソードにもうちょっと時間をかけてほしかった気がします。結局、登場人物の感情、行動を飲み込む前に、唐突な出来事や行動が起きてしまって、映画に没頭しにくかったのですよね。

 ただ、登場人物のどこかに影があり、いわゆる普通の生活からはみでたようなところが、何とも愛おしく感じます。佑樹自体が社会にも自分にもいらついているのですけど、でてくる登場人物が子供の健吾も含めて、ちゃんと佑樹と向き合うことで、クレイジーでも斜に構えずに突っ走っていくような疾走感を増やしていきます。

 特に、後半彼と美智子が出会う中年男(岩谷健司)は、登場の仕方こそひいてしまいましたが、実に癖のあるサトウキビのようにかめばかむほど味が出てくる設定に2人はもちろん、観客も巻き込んでくれます。また、しっかりと佑樹を見守るカフェのマスター(曽我部恵一)、突然登場してかき回す佑樹の元カノ(中田絢千)も、それぞれ内面の暖かみが醸し出て、こんな疲れた世の中に、こんな人と出会えたらなんて素敵だろうと思わせてくれます。

 そして、なにより美智子親子。特にセリフがなくても、しっかり存在感のある健吾が、終盤見せる姿は、親だったらだれもがこうなってほしくないという思いを抱かせるものであり、子役ながらあっぱれといいたくなりました。

 工藤将亮監督は森田芳光、行定勲らの助監督を務め、本作が長編デビュー作。作品もさることながら、上映後に中田絢千と出たトークショーでの映画への思いが素晴らしく、こちらも応援したくなり、その分★一つつけました。ただ、暖かい分、正直、同じ長編デビュー監督作でも「メランコリック」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」のようなエッジは足りない気もしました。今後、どのような作品を作っていくのか楽しみです。
posted by 映画好きパパ at 07:15 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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