作品情報 2015年日本映画 監督:高橋名月 出演:中条あやみ、岡山天音、 萩原みのり 上映時間24分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2019年劇場鑑賞290本目
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【ストーリー】
緑に囲まれた田舎の高校。女子高生の鮫島(中条あやみ)は学校帰り、校門の前で同級生の中島(萩原みのり)とたわいのないおしゃべりをはじめる。ところが、自分が宇宙人をみたかもしれないと話し出す。
学校の屋上へ続く階段で、藤田(岡山天音)は親友の細川(葉山奨之)に、同じクラスの鮫島のことが気になると相談するのだが…
【感想】
基本的に1つのシーンに高校生が2人で会話する様子をワンカットでとります。その会話シーンが数回続くだけの作品ですが、とにかく会話が自然な感じ。同様の作品に僕の大好きな「セトウツミ」があり、映画版には中条、テレビ版には葉山が出演していますが、「セトウツミ」がシュールな笑いを狙っている感じがしたのにたいして、本作は本当に会話がナチュラル。いかにも高校時代ってこんなたわいのない会話をしたし、異性の存在が気になり、どうしようか迷ったりします。それでいて観客の意表を突くような話がぽっとはいってくるからあなどれない。
「宇宙人をみたかもしれない」と友人にいわれても、中島は面白がるでも否定するのでもなく、自分でその意味を消化するまで、淡々とたわいのない言葉のキャッチボールを繰り返します。そして、また宇宙人の話に戻るのですが、このへんの間合いが実に素晴らしい。微妙な沈黙とか、本当に微妙な感じでとっているのです。これは実際に映画をみないとわかりにくいのですが、こんなふうな日常の会話だけで、友情、淡い恋心、何よりも青春の尊さといったものがしっかり描かれるというのは心底驚きました。
さらに、原作は高橋監督が高校時代に書いたもので、映画制作時も高橋監督はまだ10代。おおむね同世代だからこそ描ける、唯一無二の高校時代の雰囲気を醸し出せていました。今をときめく俳優陣も、当時はまだ若手。撮影は2日間らしいけど、だからこそ日常を切り取ることに成功したのかもしれません。
この4人を抜擢した監督の眼力もすごいけど、特に主演の中条は、最近も冬の華のような主演映画やゴールデンのドラマ主役をしていますが、僕が見た限りでは、この映画の中条に関しては、陳腐な言葉では表せないほど、とにかく素晴らしい。関西弁でやりやすかったのかもしれませんけど、美少女だけど地味で不思議なところがあるといった役柄を難なくこないていました。彼女を見るだけでも1800円の価値は十分にあります。
残念ながらソフト化はされておらず、関東ではシネマート新宿の1週間限定レイトショーです。本作を観られたことは映画ファンとして穏当に僥倖だったといえましょう。(*限定上映のため順番入れかえ)
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