2019年09月29日

人間失格 太宰治と3人の女たち

 太宰治の晩年を彩った3人の女との関わりを蜷川実花監督がスタイリッシュに仕上げました。編集者役の成田凌は架空キャラクターですが、基本的に史実に即してる「ヤバすぎる実話」らしく、小栗旬の好演もあり、太宰ファンならたまらない作品になったのではないでしょうか。

 作品情報 2019年日本映画 監督:蜷川実花 出演:小栗旬、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみ 上映時間120分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2019年劇場鑑賞285本目



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 【ストーリー】
 1947年、人気作家の太宰治(小栗旬)はなかなか新作が書けずに困っていた。そこへ太宰のファンで作家志望の太田静子(沢尻エリカ)からの手紙がきっかけで、太田と愛人関係になり、没落した名家の出である彼女から日記を借りる。その日記をもとに「斜陽」を書いたところ、一躍ベストセラーに。

 酒場で未亡人の美容師、山崎富栄(二階堂ふみ)と出会った太宰は、静子と縁を切り、富栄を愛人として入り浸るようになる。一方、そんな太宰の才能を信じて、留守宅を守っている妻の津島美知子(宮沢りえ)は、作家の妻の鑑といわれるようになる。深酒と女性関係、そして自殺未遂で破天荒な生活が話題となる太宰だったが…

 【感想】
 太宰治というか、昭和文学は高校、大学時代に読みあさりましたが、それから20〜30年たち、すべて忘却の彼方に。それでも、心中未遂や自殺未遂を繰り返した太宰の生活はさもありなんというふうにみえますし、編集者の佐倉(成田凌)が、いい具合に観客の突っ込みを代弁してくれるので小気味よくみられました。

 スマホどころかテレビもなかった時代。小説は娯楽の王様で、人気作家の太宰は大物中の大物だったのでしょう。だから女にもモテモテですし、破天荒な生活を送っても、むしろ、作家は無頼漢だから世間もヒーロー視していた。不倫がけがらわしいものとされる現代では考えられない時代です。まあ、どちらがいいというわけでなく、文化の違いといえるのでしょうけど。

 蜷川監督の美意識がはいった映像は「ダイナー」のようないっちゃったところまではいかずに、花の原色の美しさや、当時の時代にあったファッションなどは万人が楽しめます。なんと言っても当時の時代を美しく現代に反映させたというのは監督の手腕でしょう。また、女性監督らしく、沢尻、二階堂、宮沢とそれぞれ世代の違った女優を、これまた美しくみせてくれます。今の感覚からすれば考えにくいところもあるけれど、昭和20年代の女性のなかでも、太宰を愛し愛されるにはぶっとんだ人たちだと思えば納得できます。

 作中、志賀直哉ら文壇の大物から批判された太宰が憤るシーンがあります。また、坂口安吾(藤原竜也)や伊馬春部( 瀬戸康史)と飲み交わすシーンもあります。しかし、三島由紀夫(高良健吾)を除いては、志賀や川端康成ですら現代ではほとんど読まれないですし、三島も自衛隊での切腹がセンセーショナルに扱われていることを考えると、結局、太宰というのは昭和の文士として最高の地位にいるといっても過言ではないでしょうか。

 3女優のバチバチするような女の戦いに右往左往する小栗はナイスキャスティング。ただ、高良、瀬戸は、現代ぽさがぬけずに、ちょっと浮いている感じもしました。今や文学が社会を動かすことなんて、ほぼなくなり、村上春樹といえども、社会への影響力は太宰や三島とは比較できないでしょうし、文士だから何をしてもいいというわけでもありません。古き良き文学の香りに浸ることができる、美しい作品といえましょう。

posted by 映画好きパパ at 07:21 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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