2019年09月29日

荒野の誓い

 正統派の西部劇と思いきや、最後の最後で西部劇の歴史を現代の価値観でひっくり返す荒技。ロザムンド・パイクは「プライベート・ウォー」とまったく異なる熱演でたいしたものです。

 作品情報 2017年アメリカ映画 監督:スコット・クーパー 出演:クリスチャン・ベイル、ロザムンド・パイク、ウェス・ステューディ 上映時間135分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2019年劇場鑑賞286本目




ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


 【ストーリー】
 19世紀末、インディアンを次々に退治したブロッカー太尉(クリスチャン・ベイル)は捕虜にしていたシャイアン族の酋長、イエロー・ホーク(ウェス・ステューディ)とその一族を、ニューメキシコの基地から彼らの故郷のモンタナ州まで護送するよう命じられる。イエロー・ホークは末期がんで、最後を故郷で過ごさせるようにとの政府の決定だった。

 部下や友人をインディアンに殺されたブロッカーだが命令に逆らえず、渋々護衛隊を組織する。途中、コマンチ族に家族を皆殺しにされた女性ロザリー(ロザムンド・パイク)を保護し、一緒に旅をすることになるが、道中、次々と襲いかかる敵に、一行は一人また一人と脱落していく…

 【感想】
 冒頭、人里からぽつんと離れた開拓地で暮らすロザリー一家にインディアンが襲いかかり、赤ちゃんや少女までも惨殺します。インディアンが悪役の作品って最近は珍しいなと思っていたら、次のシーンでブロッカーが捕虜のインディアンを、汚いものでも扱うように乱暴に連行します。これまでの憎しみの連鎖というか、そもそもインディアンの土地に白人が侵入してきたのが根本原因。しかし、個々人にとっては身の回りの人を傷つけられたかどうかのほうが重要になります。

 そして、一行はロザリーと合流して長旅に出ますが、コマンチ族だけでなく、白人の密猟者や逃走犯など敵はさまざま。ブロッカーとイエロー・ホークも生き残るために協力していきます。また、心に深い傷を負ったロザリーを、ホークの若い娘エルク・ウーマン(クオリアンカ・キルヒャー)が癒してくれます。やがてロザリーもブロッカーも、善悪は人種ではなくて、個々人で決まる。白人にもインディアンにもいいやつも入れば悪いやつもいるということがわかってきます。それを家族や友人を殺された一行に悟らせるというのはうまいやりかたです。

 19世紀末にどれだけの人がそういう理解をしたのかわかりませんが、21世紀ではそれが当たり前の見方。だから、西部劇でもインディアンの扱いというのが20世紀半ばのジョン・ウェインのころとはかわってきています。そういう意味では本作は、前半はオーソドックスな西部劇ですが、後半に20世紀半ばの、あるいは19世紀後半のアメリカのインディアン差別こそが悪であると明白にうたうことになります。

 しかし、そのために劇中、払う犠牲も大きい。泥と埃にまみれながらの旅に、血だらけの死闘は、観ているこちらの緊迫感を高めます。それでも、最初はどん底にいたロザリーもやがて銃をとるよう姿に、人間の凜とした生き様というのが伝わってきます。このあたりはロザムンド・パイクの骨頂ともいえる演技ではないでしょうか。ブレイク直前のティモシー・シャラメも見逃せません。
posted by 映画好きパパ at 18:55 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。