2019年10月04日

みとりし

 余命宣告を受けた人に寄り添う「看取り士」という資格があるそうで、看取り士を通じて在宅での死を考えさせられる秀作。ただ、映画のような介護は実際の看取り士はしないとの注意書きもあり、じゃあ看取り士って何をやる仕事なのか、よくわかりませんでした。

 作品情報 2019年日本映画 監督:白羽弥仁 出演:榎木孝明、村上穂乃佳、高崎翔太 上映時間110分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:有楽町スバル座 2019年劇場鑑賞311本目



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 【ストーリー】
 エリートサラリーマンの柴(榎木孝明)は、交通事故で高校生の娘を亡くし、定年もせまったため、生きることにむなしさを考えていた。ある日、同期入社の川島(宇梶剛士)が、がんで急死したことを知り、墓参りにでかける。そこで出会った看取り士の女性(つみきみほ)から、川島が最後、看取り士の世話になったことを知る。

 5年後、看取り士となった柴は、岡山県の山間部で看取り士の仕事をしていた。町で唯一の診療所医師・清原(斉藤暁)と協力して、ボランティアスタッフたちと奮闘する彼の前に、新人看取り士、みのり(村上穂乃佳)が赴任してくる。経験浅いみのりは、柴の指導を受けながら、人の死と向き合うことになり…

 【感想】
 序盤は柴が主人公ですが、舞台が岡山になってからはみのりが主人公になります。幼い頃に両親を亡くして親戚をたらい回しされ、高校時代に自殺も考えたというみのり。その彼女が、人生の最後に寄り添い、その人が生きてきて良かったと思ってもらうような仕事につくことになります。ある意味天職なのかもしれませんが、死の瞬間に立ち会わなければならないというのは、若い女性にとって苛酷すぎる仕事です。

 子供が都会に出て独り暮らしだったり、嫁姑関係から面倒を見てもらえなかったりと看取り士に依頼する家庭もさまざま。みのりは新人ゆえに、真っ正面からそれぞれの人に向き合い、亡くなる本人だけでなく、家族にとってもやすらげる存在になるよう努力します。この当たりは村上のきまじめで初々しい演技が心にしみいります。

 といって、いいことばかりではありません。看取り士がセクハラや暴力を受けたり、遺産目当ての薄汚い存在とののしられることもあります。実際、死期が迫っても性欲があったり、暴力的な人はそのままだったりするのでしょうから、映画ではそんな老いの悲しみも淡々と映し出します。みのりが困り果てたときに的確なアドバイスを出す柴は、やはり榎木の暖かみと年長者らしい演技がふさわしかった。

 映画は何人かの依頼者ごとのエピソードがつながっていますが、クライマックスはまだ若く、幼い子供もいる女性良子(桜井淳子)の看取りです。自分が幼い頃に母親を失っているみのりが、若くして死ななければならない良子や、その幼い子ども達にどうやって向き合うのか。劇場ではすすり泣きがあちこちから聞こえてきました。さらに、エピローグ的な話がありますが、この切り取り方も本当にうまかった。

 看取り士という職業が実際はどんなものかしりません。しかし、超高齢化社会で、もし家族がいても先立たれたり、疎遠だったりして、一人で旅立つ人は増える一方です。そんななか、こうした心に寄り添う仕事というのはこれからますます重要になっていくでしょう。上映館は少ないですが、機会があればぜひ勧めたい作品です。

 なお、本作を観た有楽町スバル座は20日で閉館。新作としては本作が最後の作品となります。小規模な邦画を上映していた歴史ある映画館が閉館するのは寂しいですが、本作をみるのにふさわしい映画館ともいえるかもしれません。
posted by 映画好きパパ at 00:39 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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