2019年10月06日

アイネクライネナハトムジーク

 伊坂幸太郎特有の、さまざまな登場人物の話が一つにまとまる群像劇。脇役までキャラが丁寧に描かれているし、観ていてほっこりするストーリーに満足です。

 作品情報 2019年日本映画 監督:今泉力哉 出演:三浦春馬、多部未華子、貫地谷しほり 上映時間119分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:東宝シネマズ川崎 2019年劇場鑑賞297本目



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 【ストーリー】
 仕事に追われ恋人を作る暇のないサラリーマンの佐藤(三浦春馬)。劇的な出会いをしたいといって、大学時代の友人の一真(矢本悠馬)にバカにされる。そんな一真は大学時代のマドンナ由美(森絵梨佳)と幸せな家庭を築いていた。ボクシングヘビー級で日本人初の王者挑戦者となったウィンストン小野(成田瑛基)の試合が盛り上がる中、街角でアンケートを配っていた佐藤は、きちんと回答してくれた紗季(多部未華子)に好感を抱く。

 由美の友人で美容師の美奈子(貫地谷しほり)は佐藤同様、仕事に追われて出会いがなかったが、客の香澄(MEGUMI)から弟を紹介された。電話で仲は深まるものの直接会う機会のないなか、美奈子は香澄の弟がウィンストン小野だったことを知る。佐藤は会社の先輩、藤間(原田泰造)がウィンストンのファンだとしり、由美に紹介してもらうよう頼むのだが…

 【感想】
 大勢の登場人物の恋愛、友情といった思いを見事に交通整理してくれます。格闘家としてはやさしすぎるウィンストンや口の悪い一真も含めて、だれもが他人に思いやりをもち、節度をもって接していきます。メインは佐藤と沙季の恋愛なんですが、それがじれったいほどすすまない。強引に物事が進むのでなく、じんわりといくのが心地がよい。

前半は10年前の時代。SNSによるコミュニケーションが過剰になる前であり、それぞれが電話やリアルでやりとりするコミュニケーションに人としてのあり方を感じることができました。さらに、単に良い話ではなく、ほろ苦なエピソードもまじえられています。ウィンストンや佐藤が、聴覚障害の少年(中川翼)と出会った話などは、人生、いいことをしていれば報われるというわけでない現実を教えてくれます。

 後半は10年後の話。原田を除いてはあまり外見に変化がなかったですが、一真の長女、美緒(恒松祐里)たち高校生の話も加わってきます。といってもありがちないじめなどはなく、それでいていいことばかりでもないという絶妙なエピソードのチョイス。まさにちょっといい話の積み重ねに、観ているこちらもじんわり暖かくなります。恋愛ドラマなのにラブシーンどころか、キスシーンすらほとんどないのに、人を好きっていいよねと思わせるのはすごい。映画でいわれた、どんな出会い方をしたよりも、そのとき、その人と出会って自分が幸運と思えるかどうかが大切という言葉は実に深い。

 三浦と多部は「君に届け」をはじめ過去何度もカップル役をやっており、本作でもどこにでもいそうな誠実だけど一歩踏み出せないカップルを好演しています。また、おしゃべりな夫をうまくいなす妻役の森の演技がまた印象的。本当に好き同士の家族っていいよねと思わされました。若手の恒松やクラスメイト役の萩原利久もフレッシュな感じがなんとも初々しい。そしてなんと言っても語り手のようなストリートミュージシャンのこだまたいちがいい味を出しています。

 舞台も伊坂作品らしい仙台であり、地方都市ならではの人間関係とか地域関係とかが絶妙。駐輪場とか地方都市ならではですし、知り合いの知り合いの知り合いぐらいに有名人がいるという感覚もまた地方都市ならでは。この伊坂ワールドを見事スクリーンに体現させ、しかもキャラクターをうまくまわした今泉力哉監督の手腕はあっぱれといいたくなりました。

posted by 映画好きパパ at 07:37 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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