2019年10月10日

ある船頭の話

 俳優のオダギリジョーの初監督作品。フランス映画のように、淡々と何も起きない作りと思いきや、途中から怪異譚のような話もあり、激しい動きになり、なかなかうならされる作品でした。

 作品情報 2018年日本映画 監督:オダギリジョー 出演:柄本明、川島鈴遥、橋爪功 上映時間137分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2019年劇場鑑賞303本目



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 【ストーリー】
 山あいの村で渡し船の船頭をしているトイチ(柄本明)。川辺の小屋に一人住み、川を渡りたい人がいれば小さな船をこいで渡す毎日。貧しいながらも時折近くに住む農家の若者源三(村上虹郎)から芋などの差し入れをもらってそれなりに日々暮らしていた。しかし、文明開化の世の中になり、近くに橋が建設されることになる。そうなれば船頭の仕事は終わりだと、橋の建設技師(伊原剛志)にからかわれるが、だまって受け流すトイチだった。

 ある日、赤い着物を着た少女(川島鈴)が川を流されてくる。トイチは助け出し、小屋で看病したが少女は一言も口をきかない。折しも川上の村で一家皆殺し事件があったという噂が流れてきたのだが。

 【感想】
 少女がながれてくるまでは、トイチの緩やかな日常を映し出します。オダギリジョーの人脈か、浅野忠信、蒼井優、草笛光子、橋爪功といった結構豪華な乗客達が、ワンシーンのためにでてきます。それぞれ無口な船頭が相手だからか、自分の内面を吐露したりして興味深いのですが、動きがあまりにもないうえ、森の間をながれる川の風景に癒され、眠気を催してします。

 少女がでてからはテイストがちょっと変わってきます。日本昔話のような川の妖怪みたいな少年があらわれたり、赤い着物を着た少女も、本当に事件の関係者か、それとも何か異形の者なのか、興味をひきます。着物といっても、新宿武蔵野館には撮影で使われた実物がありましたが、東南アジアの人の伝統服のようにみえ、余計に、異形感をだします。

 その一方で、文明開化で昔からのものがどんどんおきかわっていく。船でゆったりこぐのではなく、人力車とかつかってせかせか急ぐようになる。それが本当に幸せなのかどうか、実はトイチのように、自然のあるがままに寄り添って生きるというのも、一つの理想ではないかという気にもなります。また、交通の発展は商業主義を呼び込みます。終盤、思わぬ人物が豹変するのをみると、人間らしい生き方とは何なのかと思わせます。

 撮影は名匠クリストファー・ドイル。新潟の阿賀野川でロケしたそうですが、まるで中国奥地の景勝地のようにみえますし、登場人物達の衣装から、現代ではなく、100年以上の前の話をリアルで観ているような気持ちにもさせられます。正直、オダギリジョーをなめていました。撮影シーンだけでも、これは映画館で観るべき作品だと思います。 
posted by 映画好きパパ at 23:16 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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