2019年10月12日

惡の華

 自意識過剰で、他人にあわせられない少年少女の心の闇をセンセーショナルに描き、激賞している向きもありますが、役者があわなかった。伊藤健太郎、玉城ティナに中学生というのはいくら何でも無理があるような。

 作品情報 2019年日本映画 監督:井口昇 出演:伊藤健太郎、玉城ティナ、飯豊まりえ 上映時間127分 評価★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2019年劇場鑑賞306本目



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


 【ストーリー】
 群馬県の山あいの町に住む中学生、春日高男(伊藤健太郎)はボードレールの「悪の華」を愛読するような自意識が高い男子。周りとあわせた振りをしているが、自分のレベルについていけるものがこの町にいるのかと、こじらせていた。

 ある日、クラスのマドンナ、佐伯奈々子(秋田汐梨)の体操着を盗んでいるところを、同級生の仲村佐和(玉城ティナ)に見つかってしまう。佐和もまた周囲が低脳な糞虫だといらついているこじらせ女子だった。佐和に変態と罵倒された高男は、秘密にする代わり何でもいうことを聞く契約を結んでしまう。佐和からの要求はしだいにエスカレートしていき…

 【感想】
 伊藤が22歳、玉城が21歳。さすがに中学生役は厳しいのですが、2人とも美男美女で、変態感というのがまるで感じられません。同時期に観た「エイス・グレイド」でこじらせ系女子が、周囲からみてもいかにもこじらせてるとわかる役者、演出をしていたのをみただけに、ちょっとがっかり。本作では思春期のこじらせ変態というよりも、美しいサブカル系を想起してしまい、もやもや感が今一つ伝わってきませんでした。高校生役ならわかるけど、中学生だから起きるようなエピソードですし、なかなか難しいところ。

 さらに、売り出し中の2人に配慮したのか、ある意味性的なフェティッシュをモチーフにしているのに、パンチラも勃起もない。ブルマとスク水では物足りない。同じように「変態」をセリフで連呼している園子温監督の「愛のむきだし」で役者が体当たり演技をみせたのとは雲泥の差です。まだ売れていない秋田だけが、16歳なのにきわどいシーンをやったのをみると、何か大人の事情みたいなのも垣間見えた気にも。 また、悪の華の象徴のキャラクターが、「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる妖怪「バックベアード」そっくりだったのは、思わず吹き出してしまいそうになりました。 

 脚本の岡田麿里は「心が叫びたがってるんだ。」などで思春期の傷をおいやすい繊細な心情を描き出していたし、井口監督は「ロボゲイシャ」のような変態丸出しの作品から、「覚悟はいいかそこの女子。」のような青春映画まで手がけているので、事前のハードルが高かったのですけどね。

 そんななか、良かったのが佐伯さん役の秋田汐梨。彼女は「賭ケグルイ」の喪部美で、出番は短いながらも強烈な印象を与えてくれましたが、本作は準主役に抜擢。優等生ならではの心細さ、初恋へのあこがれ、そして、仲村、高男によって崩れていく日常の狂気というものをよく体現していました。失礼ながら、玉城に比べると地味な容貌であるところが、余計に田舎のクラスのマドンナで、その世界から出たいけれど、足下から崩れることの恐怖というものを、抑制された演技でうまくだしていました。亡くなられたベテラン女優の佐々木すみ江さんが出演されていました。
posted by 映画好きパパ at 08:27 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。