2019年11月18日

8番目の男

 2008年に行われた韓国初の陪審員裁判を舞台にした裁判劇。「12人の怒れる男」「12人の優しい日本人」といった陪審員映画をみていたら大体想像がつきますが、韓国ならではの悲喜劇を盛り込んでいます。

 作品情報 2018年韓国映画 監督:ホン・スンワン 出演 ムン・ソリ、パク・ヒョンシク、ホペク・スジャン 上映時間114分 評価★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2019年劇場鑑賞367本目  



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 【ストーリー】
 2008年、韓国で初めて国民参与裁判(陪審員裁判)が始まった。初の裁判長を務めるのはベテランの女性裁判官のジョンギョム(ムン・ソリ)。絶対に失敗が許されないと上司からプレッシャを与えられる中、最初の裁判は中年の無職男(ソ・ヒョヌ)が同居している母親(イ・ヨンイ)を団地のベランダから突き落として殺した事件。目撃者もおり、簡単な裁判だと思われていた。

 8人の陪審員のうち7人は、評決を有罪とした。ところが、急遽8番目の陪審員に選ばれた
若者クォン・ナム(パク・ヒョンシク)は、あることに疑問を抱く。そして、次々と疑問をつきつけるうちに、陪審員は一人また一人と意見を変え…

 【感想】
 8人の陪審員は性別、職業、年齢もバラバラ。中には裁判後に予定があり、早く評決を終わらせたいというものもいました。このへんは「12人の怒れる男」などとパターンは一緒ですね。そして、みんなが有罪とおもうなか、一人が事件の矛盾点に疑問をもつというのも王道のパターン。

 ただ、本作の場合はクレジットも俳優の格としても裁判長役のムン・ソリが主役であり、そこが他の陪審員映画とひと味変えています。男性社会で、女性として今後の出世を図るためには世間が注目する裁判を無事に切り抜けなければならない。そのためにはさっさと評決をおわさせたいという裁判所全体の意向が彼女にかかってきます。

 しかし、裁判官として真実を見抜くということと、疑わしきは罰せずという近代裁判の原則を心に秘めています。クォン・ナムが陪審員で現場検証をしたいと申し出るなど尋常ではない発言をしても、嫌がりつつも最終的には受け入れ、裁判がショーではなく、正義の場であることを示そうとしています。韓国映画では権力への不信が強いのですが、司法へはなんだかんだいって最後の砦というイメージがあるのかもしれません。

 8人の陪審員も主役格のクォン・ナム以外も、それぞれ個性があってわかりやすい。ただ、陪審役や裁判所長役に直前にみた「国家が破産する日」に登場していた俳優が3人もでていて、全然違う役柄に結構わらっちゃたりしました。実話をベースにしているとはいえ、普通にリーガルエンタメとして楽しめる作品。ただ、せっかく社会的な事案を取り上げているのに、深みは今ひとつないかもしれません。
posted by 映画好きパパ at 05:39 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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