作品情報 2019年日本映画アニメ 監督:片渕須直 声の出演 のん、 細谷佳正、小野大輔 上映時間168分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎 2019年劇場鑑賞424本目
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【ストーリー】
戦時中、広島から呉に嫁入りしたすず(声・のん)。天然なところのあるすずは、夫で海軍に務める周作(細谷佳正)や義父母(牛山茂、新谷真弓)に気に入られ、小姑の径子(尾身美詞)にはきつくあたられるものの、持ち前の天真らんまんさで生活に溶け込んでいた。
しかし、戦争の進展とともに物資は窮乏し、やがて、空襲が呉の町を襲うようになっていく。
【感想】
オリジナルのDVDをもっており何度も見返していますが、それでも本作を見たときには自然と涙がでてきました。オリジナルではほとんど削られた、すずの友人でもあり因縁もある女性、白木リン(岩井七世)にしっかりと尺をさいたことや、すずと周作の夜の生活も描かれて、かなりすずたちの息づかいが聞こえてくるそうです。
監督の舞台挨拶がある回に行きましたが、すずは大正14年5月生まれという設定だそう。もし生きていれば94歳なわけですから、同世代の人もまだ日本には大勢います。戦時中のその瞬間を切り取るのではなく、すずさんの長い人生はまだ続いていて、その前半部分の物語だと考えるという監督の話を聞くと、ますます彼女がそのへんで生きていてもおかしくないような気がしました。
監督にいわれるまで気づかなかったのがすずさんの服の変化です。戦前の子供でもスカートが一般的になるなか、すずさんは着物を着ていたとか。そういう細かいところまで作り込んでいるのはさすがです。繰り返しになりますが、あの時代に彼女らは確かに生きていたことが見ている側にしっかりと伝わってきます。
リンさんについてはドラマ版をみているので、内容はあらかたしっていましたが、それでも映画版の世界でしっかりと描かれているのはうれしいかぎり。すずとリンという全く異なる2人がどういう生き方をしていたのか、エンディングのアニメーションでリンの半生がでてくるのはオリジナルも一緒ですが、それがより深くみえるようになりました。そして、すずと周作の夫婦の絆についても、オリジナルではわかりにくかった場面もはっきりとわかるようになりました。
原爆についての怖さもオリジナルよりさりげなく深化しています。戦争がどんどん風化していっているなか、こういう作品が作られ、若い世代を含めて多くの人に浸透しているというのは素晴らしいこと。本作もオリジナル同様、大きくヒットするよう願ってやみません。
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