2020年01月07日

サイゴン・クチュール

 プラダを着た女×バック・トゥ・ザ・フューチャーと宣伝にある通り、ポップでキュートに楽しめます。ゴツゴツしたところもあるけれど、ベトナムでこんなお洒落なのかというのは結構びっくりしました。

 作品情報 2017年ベトナム映画 監督:チャン・ビュー・ロック 出演 ニン・ズーン・ラン・ゴック、ンゴー・タイン・バン、S.T 上映時間100分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿K’Sシネマ 2019年劇場鑑賞432本目



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 【感想】
 【ストーリー】
 1969年、ベトナム・サイゴンの老舗アオザイ屋の娘ニュイ(ニン・ズーン・ラン・ゴック)は、英仏の最新のファッションを着こなし、ミス・サイゴンとして話題になっていた。そんな彼女はアオザイが古くさくて大嫌い。アオザイの名手である母親(ンゴー・タイン・バン)に反抗していた。

 ところが、家の奥にあった家宝の宝石がついたアオザイを着たら不思議なことが起きた。宝石から光が放たれたと思うと、なんと2017年のベトナムにタイムスリップ。しかも、アオザイ屋はニュイがろくに仕事をしなかったためつぶれかけており、老人になっていたニュイ(ホン・ヴァン)は、破産して自殺しようとしていたのだ。何とかアオザイ屋を立て直そうとするニュイは、アオザイ屋に出入りしていた青年トアン(S.T)の協力で、人気デザイナー、ヘレン(ジエム・ミー)の事務所にもぐりこむのだが…


 【感想】
 冒頭から1960年代風のポップなメロディーとファッション、ヘアスタイルに打ち抜かれました。当時のサイゴンはベトナム戦争の真っ最中で米兵がたくさんおり、欧米の文化が流入していたということは理解していたのですが、ここまでヨーロッパ直輸入のおしゃれな女の子がいたとはびっくり。

 さらにびっくりしたのが、現在のシーンにとんだとき、その間、当然ベトナム戦争があって国土は荒廃したのですけど、それに触れるシーンがまったくないのです。つまりベトナム戦争を知らなければ、単なるタイムスリップものとしかみられないわかです。しかも、ヘレンの事務所ではプラダ、グッチ、アルマーニといった最新のファッションとつながっていますし、ニュイが現代風のファッションを着こなす場面は、そのお洒落さにびっくり。本当に東南アジアの発展というのはすさまじいことがありますね。

 過去のニュイは若さと美貌と家柄を鼻にかけた嫌な奴でした。トアンの母親のロアン(オアン・キエウ)は、彼女の召使にすぎません。しかし、ロアンがアオザイのことを一生懸命覚え、今では大手のアオザイメーカーの女社長になっている一方、ニュイは落ちぶれています。しかし、ロアンはかつて恩義を受けたニュイの母のために、落ちぶれた店にあれこれ援助している。このへんの教訓めいたところも、わかりやすいストーリーになっています。
 
 そのニュイは、最初は自分のファッションセンスを自慢しますが、何しろ50年前のファッションですから、古くさいと大笑いされ、掃除夫としての採用になります。そこから、現在のニュイのように落ちぶれないよう必死に勉強し、また、アオザイの良さを発見していくというのはベタだけど面白い。

 とにかく、主演のニン・ズーン・ラン・ゴックが魅力的。過去のシーンのほうが印象的で、そのポップなセンスと色使いがたまりません。現代のシーンは、よくあるアジアンビューティーでしたが、それでも、この垢抜けた具合はうならされます。そして、エンディングでニュイと母親(本作のプロデューサーでもある)が、60年代風音楽に合わせて踊るのですが、これまた、たまらない魅力的。監督、製作、脚本とベトナムの若手女性がしめているそうで、このセンスの良さは日本のおじさんよりも何十倍も優れもの、2019年最後の映画になりましたが、眼福でした。
posted by 映画好きパパ at 06:59 | Comment(0) | 2019年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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