2020年01月11日

虐待の証明

 日本でも痛ましい児童虐待が後を絶ちませんが、韓国でも同様というか、実話を元にしたという本作をみると、警察も児童相談所もほとんど機能していないよう。なんとも心をえぐるような作品でしたが、最後のほうがちょっと盛り過ぎなのは韓国映画ぽいところかも。

 作品情報 2018年韓国映画 監督:イ・ジウォン 出演 ハン・ジミン、キム・シア、イ・ヒジュン 上映時間98分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2020年劇場鑑賞4本目 



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 【ストーリー】
 母から虐待を受けたうえ、性犯罪の被害者になったのに、正当防衛が認められず施設で育ったペク(ハン・ジミン)。すさんだ彼女を、刑事として守れなかったジャンソプ(イ・ヒジュン)は何とか立ち直らせようとするが、彼女の心は頑なだった。

 ある日、ペクは寒空の中傷だらけで夜道に震えながら立っている幼い少女ジウン(キム・シア)と出会う。彼女に服を着せ、温かい料理を食べさせる。彼女が虐待にあっていると思ったペクは警察に行くが、ジウンの義母(クォン・ソヒョン)は人当たりがよく、前科者のペクの話しはとりあってもらえない。その後、再び、虐待から逃げ出してたジウンと出会ったペクは…

 【感想】
 なんとも重い題材ですし、韓国映画はバッドエンドも普通にあるから、最後までドキドキしながら観ていました。下層階級に生まれたペクを襲ったのは金持ちのボンボン。しかし、罪に問われたのはペクのほう、なんて普通の韓国映画では主軸にすえるようなエピソードもさらりと流します。しかし、親にも捨てられたうえ、社会にも国家にも捨てられたペクの哀しみが、何も寄せ付けない頑な人間を作り上げてしまいます。

 しかし、自分と同様の境遇に置かれているジウンをみて初めて心が動きます。ある意味自分を救ってくれる存在である刑事のジャンソプに対しては、いつ自分を裏切るのかと潜在的に思って警戒していたのでしょう。しかし、無垢であるジウンと出会い心が呼び戻されました。彼女も親からも社会からも見捨てられた存在です。ジウンを守ろうとするペクですが、同時にペクのほうも守られる。弱者が互いに寄せ合うしかない姿は、観ているこちらの心を貫きます。

 虐待する親が何よりひどい。でも、養母役のクォン・ソヒョンは普段はニコニコしつつも実は夫(ジウンの父)からDVを受けているし、夫も実は子どものころDV被害を受けていたというDVの連鎖が何よりも悲しい。もちろん、それが現在のDVを正当化されるわけではないのですが、虐待の連鎖を断ち切る重要性を感じます。その意味では警察の対応が本当に腹だたしい。一応、ジャンソプという存在はいるのですが、組織として犯罪が発生するまで放置し、虐待そのものをなくそうとしない。子どもや弱者の叫びを聞き入れようとしないというのは、日本よりもひどい気がしました。

 残念なのは、後半に盛り上げようとしたこと。それまでがひたすら暗い話が続いただけにサスペンス的な要素を入れようとしたのでしょうけど、ちょっと物語がちぐはぐになってしまいました。

 ハン・ジミンは髪を茶髪にして、ノーメイクで肌荒れした姿で美人女優の片鱗もありません。まさに、社会の底辺で生きる女性のリアル。そして、なによりもジウン役のキム・シアのおどおどしたDV被害者の演技が圧巻。この2人の関係は心温かくもなり、一方で世間のつらさ、残酷さを感じさせ、とにかく新年からエモい気持ちになりました。
posted by 映画好きパパ at 07:43 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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