2020年01月14日

再会の夏

 戦争の愚かしさを、英雄から犯罪者になった男と犬を通じて描く小品。反戦の思いが強く出過ぎた感じもありますが、シニカルな運びと男女の愛について重きを置くのはフランス映画らしい。

 作品情報 2018年フランス、ベルギー映画 監督:ジャン・ベッケル 出演 フランソワ・クリュゼ、ニコラ・デュヴォシェル、ソフィー・ヴェルベーク 上映時間83分 評価★★★(五段階) 観賞場所:シネスイッチ銀座 2020年劇場鑑賞9本目 



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
 【ストーリー】
 第一次大戦で大手柄を立てたモルラック(ニコラ・デュヴォシェル)はフランスの田舎町に復員してから様子がおかしかった。愛するヴァランティーヌ(ソフィー・ヴェルベーク)と戦時中に生まれた幼い息子には会いにいかない。おまけに授与された勲章を、ともに戦場を駆け抜けた飼い犬のほうがふさわしいと、戦勝式典の最中に犬に勲章をあげ、国家侮辱罪で逮捕される。

 軍法会議の裁判官、ランティエ少佐(フランソワ・クリュゼ)は、モルラックが謝罪をすれば穏便に済ませると提案するが、モルラックはそれを拒否する。一体彼はなんぜこんな行動を起こしたのか。ランティエは本人の取り調べや、ヴァランティーヌたち村人たちへの聞き取りで、真相を明らかにしようとするのだが…

 【感想】
 冒頭、モルラックにつながれている営倉の外で、黒い大きな犬がさかんに吠えています。炎天下で喉が渇いている犬をかわいそうに思う人もいれば、うるさいと石を投げつける人がいます。最初は忠犬物語かなと思いきや、実はこの映画では犬は象徴的な存在であり、そのなんともいえないざらつき感は、フランス映画っぽいと実感させられます。

 定年前のランティエは、犬に勲章をあげたなんて馬鹿馬鹿しい事件でモルラックを厳罰に処するのはさすがにおかしいと考える常識人です。また、村人の証言によると戦争前のモルラックは内気だが気のいい青年でした。その彼が戦場でなぜ変わったのか。戦場シーンはそれほど派手ではありませんが、ごく普通の青年の心を壊してしまっても当然と思えるような過酷な現実がまっています。実際に軍用犬として戦場にいった犬も多いのですが、犬と人間の関係といったものについても考えさせられます。そして、国を愛するというのはどういことか。政治を牛耳っている権力者のいうままになることが本当に国を愛すると言うことなのか。ベテランジャン・ベッケル監督の静かな怒りが伝わってきます。

 一方で、銃後で待ち続け、戦後は犯罪者の妻として村でも浮いてしまったヴァランティーヌ。一番頼りになるモルラックも牢屋にはいり会えないため、シングルマザーとして厳しい生活を送っています。その孤独と周囲への敵意に満ちた生活をみていると、直接戦場に行かなくても、戦争がどれだけ人を狂わすのかというのがみえてきます。

 とはいえ、オチがちょっと邦画ファンの僕からすれば物足りないというか、これも戦勝国と戦敗国の違いなのでしょうかね。同じようなテーマを扱ったフランス映画に「婚約者の友人」がありますけど、そちらのほうが好みでした。
posted by 映画好きパパ at 07:00 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。