作品情報 2016年フィンランド映画 監督:ユホ・クオスマネン 出演 ヤルッコ・ラハティ、オーナ・アイロラ、エーロ・ミロノフ 上映時間92分 評価★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2020年劇場鑑賞20本目
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【ストーリー】
1962年、フィンランドのプロボクサー、オリ・マキ(ヤルッコ・ラハティ)の世界タイトルマッチがヘルシンキで開かれることになった。フィンランドでタイトルマッチが行われるのは初めてとあり、国中が大騒ぎ。トレーナーのエリス(エーロ・ミロノフ)は、マスコミ取材に壮行会へとマキをつれまわす。
だが、そのころマキは友人の結婚式で知り合った女性ライヤ(オーナ・アイロラ)に恋をしていた。さらに、周りの騒ぎに巻き込まれて、落ち着いて練習する時間もなかった。マキはそんななか、ある決断をする。
【感想】
人にとって何が幸せなのか、恋なのか名誉なのか勝負なのか、なかなか考えさせられます。マキはボクシングが大好きだけど、人生の何もかもなげうってまで修行したいというタイプではありませんでした。田舎のパン屋で、自分のペースで練習し、恋も大切にしたい。人間らしい暮らしが必要です。
しかし、ボクシングの世界チャンピオンになるには並大抵のことではかないません。猛練習はもちろんですが、プロですからお金の問題もあります。記者会見、スポンサー主催の壮行会、秒刻みでスケジュールが管理されます。その生活に耐えられるかどうかというのもチャンピオンへの資質です。
エリスはマキのマイペースな姿にやきもきします。チャンピオンになれる素質がありながらも、ボクシングにすべてを捧げないことに不満もあるのでしょう。しかし、フィンランド初の世界チャンピオンを実現するため、エリスは家庭も犠牲にしてマキを支えます。そんなエリスがとっている行動をマキは理解できない。このギャップがなんとも悲しい。商業主義にまみれた現代への皮肉といえば大げさかもしれませんが、人生にとって何が一番大切なのかというのを、だれもが考えなければならないということを想起してしまいます。
ボクシング映画ですが、それの勝ち負けがクライマックスというよりも、ボクシングを象徴的な存在として、人のあり方を考えさせるヒューマンストーリー。試合シーンよりも、そこに至るまでの経過や、その後の行方が重要だという変わり種の作品です。モノクロでとられて時代も今よりのんびりしていたことから、興奮というよりも考えさせられる映画でした。ただ、それだけにボクシング映画を求めていった僕からすればちょっと肩すかしだったかも。
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