2020年02月02日

ジョジョ・ラビット

 第2次大戦末期、ドイツの少年の目を通して戦争の愚かしさと生きる大切さを描いています。僕はすごい良かったのですが、ユーモアがあるところなどを嫌がる意見もネットで散見します。

 作品情報 2019年ドイツ、アメリカ映画 監督:タイカ・ワイティティ 出演 ローマン・グリフィン・デイヴィス、トーマシン・マッケンジー、スカーレット・ヨハンソン 上映時間109分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ 2020年劇場鑑賞26本目 



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 【ストーリー】
 第2次大戦末期のドイツの小さな町。10歳のジョジョ(ローマン・グリフィン・デイヴィス)は熱狂的なヒトラーの崇拝者で、空想上でヒトラー(タイカ・ワイティティ)と友達になっているほど。父親は出征して不在で、優しく明るい母のロージー(スカーレット・ヨハンソン)と暮らしていた。

 ヒトラーユーゲントの合宿に参加し、銃器の扱い方などを習ったジョジョだが、上級生から勇気だめしに命じられたウサギを殺すことが出来ずに、「ジョジョ・ラビット」とあだ名をつけられる。空想のヒトラーの励ましで、手榴弾を投げようとしてジョジョだが暴発してしまい、顔にやけどのあとを負ってしまう。けがのため学校にも行かずにヒトラーユーゲントの事務局を手伝うことになったジョジョだが、ある日、帰宅したところ自宅の屋根裏にユダヤ人の少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)が隠れているのに気づいてしまう。ロージーが彼女をかくまっていることを知りパニックになるジョジョだったが…

 【感想】
 序盤からユーモアでくるんでいるから気づきにくいけれど、戦争というか国家の恐ろしさがジョジョの言動を通じて垣間見えます。10歳にもなるのに、ユダヤ人は頭に角が生えていると本気で信じており、それは学校でそう習ったから。常識で考えればおかしなことも、周囲の大人のいうとおりに子どもはしんじてしまうわけです。ヒトラーの信者になるというのはわからなくもないですが、こんな初歩的な嘘ですら信じてしまうことに教育の恐ろしさが感じられます。

 野外キャンプで教わるのも銃や手榴弾の訓練に、夜は焚書。おそらく英米の本などを焼いていたのでしょうが、もはや教育となっていません。しかし、子ども達は女の子も含めて大喜び。なかには銃器の使い方を間違えてけがをする子もでています。またもう少し大きくなると戦場にいくと決まると大喜びしています。本当に教育というのは恐ろしい。そして、冒頭流れる当時の映像のBGMがビートルズであることは、これがどの時代で起きても不思議でないことを表しています。

 だから、ジョジョはエルサが普通の人間だということを最初は信じません。しかし、何度か話しているうちに、彼女もごく普通の人間たということがわかってきます。いわば洗脳がとけるかのよう。このあたりの描写がユーモラスですし、また戦時中でも笑いとかあったわけですから、ある意味「この世界の片隅に」と似ているところがあります。そして、加害性の欠如も含めて批判する向きもあります。けれども、それはかえって当時の普通のドイツ人が化け物であると、結局、相手を理解しないでレッテル貼りをする批判に思えてなりません。

 また、物語が徹底的にジョジョの目線になっているのもいい。恋をするとおなかの中で蝶々が回るといわれればそんなCGがでてきます。きれいな蝶々をおいかけるとき、目線はジョジョの高さで、ぶつかって初めて上をみるというのも考えぬかれた視点。一見やさしくてふざけた映画にみえますが、監督自身の演じるイマジナリーフレンドのヒトラーの最後の扱いも含めて、なかなかあなどれない作品です。

 スカーレット・ヨハンソンは、さすがの演技派ぶりをみせました。また、ヒトラーユーゲントの事務局職員でナチスの士官役のサム・ロックウエルが「リチャード・ジュエル」に引き続きおいしいところをもっていきます。しかし何より子役のローマン・グリフィン・デイヴィス、トーマシン・マッケンジーが素晴らしい。また、ジョジョの親友のヨーキー(アーチー・イェーツ)が、これまたいやしてくれて、こんな純真な10歳を戦場に巻き込む大人の愚かさが悔しくてなりません。 
posted by 映画好きパパ at 07:34 | Comment(2) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本作、今年初の満点評価でした。
深刻なドラマにせず、
終始小気味よいコメディで仕上げた
ワイティティ監督の手腕には感服しました!
Posted by 西京極 紫 at 2020年02月06日 22:47
コメントありがとうございます。
戦争ものというとシビアになりますが、
本作はコメディにしたがゆえにより深く
描けたと思います。
ワイティティ監督の次回作が楽しみです。
Posted by 映画好きパp at 2020年02月06日 23:50
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