2020年02月04日

さよならテレビ

 「ヤクザと憲法」など独自の視点の社会派ドキュメンタリーを連発している東海テレビが、自社そのものをターゲットにした意欲的作品。最後の数分にエンタメでもみられないような大どんでん返しがあり、驚愕しました。

 作品情報 2019年日本映画 監督:土方宏史 上映時間109分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:ユーロスペース 2020年劇場鑑賞28本目



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 【感想、ストーリー】
 マスゴミという言葉や若者のテレビ離れがいわれるなか、テレビは今どうなっているのか、テレビに闇はあるのか、という漠然とした課題設定で、東海テレビドキュメンタリー班は、東海テレビ報道部を取材対象にした。

 権力やスポンサーへの忖度、視聴率とニュースの質のギャップ、非人間的な労働条件を斯くして建前ばかりいわなければならない実情など、カメラは時代に取り残されようとして、困惑しているテレビ局のいまを切り取ります。ナレーションは一切なく、ありのままをみせるという手法。最後に反則的な技をみせて、やはりテレビはだめだなと思ってしまいました。

 作品はの新入派遣社員、ベテランの契約記者、そして花形のニュースキャスターの3人を軸に回ります。このうち、非正規の2人は実績を残さないと1年でクビを切られるから必死です。しかし、新人はヘラヘラ笑っているけど、社会人としての基本動作も満足に出来ず、上司から怒られてばかり。ベテラン記者も、「ジャーナリストとは」と偉そうな正論をぶちますが、実態は正規の社員がおいしいところをもっていって、Z(ゼヒモノ)と呼ばれるスポンサーの提灯記事を取材させられてばかりです。

 一方、ニュースキャスターは、東海テレビの「セシウムさん事件」(震災直後、岩手県の米に「汚染された米 セシウムさん」とのテロップを流した)のときのキャスターで、本人の責任でないにもかかわらず、謝罪の矢面にたたされました。そのことから、ニュースを扱うのに非常に慎重な姿勢をとっています。

 この3人を通じて、テレビがなにかというよりも、報道が何かを問うています。結局、テレビ局がどんなにきれいごとをいっても、スポンサーへの忖度はもちろん、視聴者への気兼ねというのが最優先。だから視聴率目当てのものになります。記者達も偉くもなんでもないただの人間、どころか、変に自称ジャーナリズムにかぶれるか、自分が失敗したくなくてごまかそうとする若手などいらいらしてしまいます。そもそも、他人にたいしてはヅケヅケと取材と称して入ってくるのに、自社をカメラで写すことになると騒動が起きるというのも、テレビの偽善を表しているようですし、働き方改革が出来ず、男性中心で女性が補助に起きているという時代遅れの職場。これはローカル局だからでなくて、新聞や雑誌も一緒だと思ってます。

 そういうマスコミ報道への不信を裏付けるような作品ですが、僕も似たような仕事をしたことがあるので、ばっさりとは切り捨てられず、甘酸っぱいような、こういうことってあるよな、と思うことも結構ありました。そんな僕でもちょっと見放したくなるような現状だけに、報道現場のことをしらない観客がみれば、あきれかえるのではないでしょうか。

 しかし、そんななかでも番組を良い者にしようと頑張っている社員がいるのも事実。テレビ的にバッサリ切ったりマスゴミと突き放すのでなく、矛盾した立場でも頑張ろうとする人間ドラマだとみれば、社会人あるあると思える、まさに今の時代を切り取ったドキュメンタリーの秀作だといえましょう。
posted by 映画好きパパ at 07:05 | Comment(2) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
考えさせられる映画でしたね。
トリエンナーレで鑑賞しました。
不完全ロボットのくだりが印象的でした。
(=^・^=)
Posted by dalichoko at 2020年02月04日 13:01
どこまで演出かどこまでリアルか。
本当に考えさせられました。
Posted by 映画好きパパ at 2020年02月04日 23:45
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