2020年02月06日

無垢なる証人

 殺人事件の唯一の目撃者が自閉症の少女というプロットですが、予告で想像したのと違い、主人公が容疑者の弁護士であることにびっくりしました。韓国映画は本当に芸が細かい。

 作品情報 2019年韓国映画 監督:イ・ハン 出演 チョン・ウソン、キム・ヒャンギ、チャン・ヨンナム 上映時間129分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2020年劇場鑑賞29本目 



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


 【ストーリー】
 元人権派の弁護士、スノ(チョン・ウソン)は痴呆症が始まった父(パク・グニョン)の借金返済のため、大手弁護士事務所に入り、意に沿わない大企業の弁護などをしていた。事務所がイメージアップのため、資産家の老人が自宅で殺され家政婦ミラン(ヨム・ヘラン)が逮捕された事件の国選弁護を引き受けることになり、スノが主任弁護人となった。

 事件は物証がなかったが、唯一の目撃者が自閉症の少女ジウ(キム・ヒャンギ)だった。しかし、ジウの母親(チャン・ヨンナム)は娘がショックを受けているからと、会いに行ったスノを門前払い。スノは学校の下校時に待ち伏せして、ジウから証言を得ようとしたのだが…

 【感想】
 ジウはミランが犯人であると証言した唯一の証人で、スノはミランの弁護士です。つまり2人は敵対する関係。しかもジウは自閉症で学校ではいじめられ、まともな会話ができない。けれども、知力は高く検察側は彼女の証言を決め手として起訴しました。普通の弁護士なら裁判でジウのことを攻撃して証言能力の信憑性をなくすでしょうが、スノはまず真実を解明しようとします。そして、できればジウと信頼関係を結ぼうとします。このへんが人権派弁護士の名残で、日々の仕事に流されつつも良心が残っている証なのでしょう。

 一方、イ検事(イ・ギュヒョン)は弟が自閉症ということもあり、ジウのことを何とか守ろうとします。若手でドジなところのあるイ検事に対して完全に敵対するのでなく、ジウを守りながらも無罪を勝ち取ろうとするスノの苦悩は深い。それでも自閉症のことを勉強し、イ検事の自閉症のひとに向き合って自分から近づくようにとのアドバイスを守ります。このあたりの弁護士と検事のちょっと変わった関係のリーガルサスペンスはなかなか貴重かも。

 さらに、独身のスノに父親が繰り返し見合いを勧めるというのが、重苦しい雰囲気を和らげる定番ギャグになっているのですが、スノの意中の人は大学時代の同級生で、未だに人権派弁護士を貫いているスイン(ソン・ユナ)。カネや生活のために現実と妥協しているスノにとり、好意は抱いているけどそれ以上の関係になかなか勧めません。こういうヒューマンドラマ的側面も見応えがあります。

 なにより、「神と共に」で一躍スターに躍り出たキム・ヒャンギの自閉症演技がすごい。おどおどとして、周囲からいじめられながらも、自分の夢をしっかりもっている。自閉症だからこそ嘘をつかないで、良心を押し隠しているスノにそのことを突きつけてくる。現実と妥協するのが大人だというような風潮にダメ出しをするのは映画ならではの正論かもしれませんけど、キム・ヒャンギの説得力はそんなことすら鑑賞中は頭の外に押し出してしまいます。

 まあ、チョン・ウソンがイケメン過ぎて40代のしょぼくれた中年男にみえないのですが、逆に女子高生とからんでもいいのはイケメンの特権なのかな。イ・ハン監督の抑制された演出や色調もあり、大人の鑑賞に向いた上質な作品でした。
posted by 映画好きパパ at 00:43 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。