2020年02月20日

静かな雨

 何とも優美で静かな世界なんだろう。クラシック調BGMがなんとも優しい世界を作り出す。衛藤美彩のたたずまいが完璧で、いつまでも夢幻の中で過ごしたくなる作品です。

  作品情報 2019年日本映画 監督:中川龍太郎 出演 仲野太賀、衛藤美彩、でんでん  上映時間99分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2020年劇場鑑賞43本目



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 【ストーリー】
 大学の研究室で働く行助(仲野太賀)は、足の障害でいつもひきづって歩いていた。そのため、性格も控えめでひっそりと暮らしていた。近所のパチンコ店駐車場にある小さな鯛焼き屋で鯛焼きを買い、女性店主、こよみ(衛藤美彩)と話すのが唯一の楽しみだった。

 こよみとの距離が次第に縮まっていったある日、彼女が事故に遭ってしまう。後遺症で昔の記憶は覚えてるものの、最近の物事が覚えられなくなってしまった。行助はこよみにある提案をするのだったが…

 【感想】
 衛藤美彩の清楚で、どこにでもいそうなそれでいて圧倒的存在感を感じさせるたたずまいがとにかく素晴らしい。インディーズ系のアーティスティックなヒロインにぴったりです。映画初出演だそうですが、前半の地方から上京して東京郊外の町でひっそりと暮らすありふれた女の子もそうですが、後半、記憶が失った後の毎回の微妙な表情が何とも言えずにお見事です。

 仲野太賀も普段のテンション高めの演技は抑えて、静かに表情で語る芝居はさすがにうまい。研究室の教授(でんでん)、後輩の大学院生斎藤(三浦透子)ともつかず離れずの距離を崩さず、ある意味夢や希望、何よりも人を好きになるところから遠いところにいたのに、こよみの存在で少しずつ人間らしさが出てくる。根が優しいゆえにこよみを守ろうとするけれど、どんなに日々を重ねても、記憶にならないもどかしさにしだいにもがいていく。こんな繊細な設定を難なくこなす太賀も見ごたえがあります。

 プロットだけみれば「50回目のファーストキス」と似ているといえますが、本作の場合、そんな障害も日常の一環と見えてしまうような静けさが大きな特徴です。この日本的な美しさが邦画ならではの良さを引き出しているといえましょう。そして、BGMの多用も小さな音に絞っていることもあり、この静けさの効果がよくでていました。なんて言っても早くも今年一番といえるエンドロールも印象的です。

 鯛焼きがひたすら食べたくなりますが、それだけではなくささやかな生活のなかに出てくる食事がうまそう。人間、食べることが大切だということもよくわかりました。登場人物もでんでん、三浦の研究室仲間がいい味をだしているほか、村上淳扮するリストラされたサラリーマンが、今の自分の境遇ともあってシンクロしました。また、こよみの母親役が妙に迫力あると思ったら、映画監督の河P直美で、これまた意表を突くけど見事なキャスティングにうならされました。
posted by 映画好きパパ at 07:11 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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