2020年03月07日

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

 老画商が人生の最後にいどんだ大勝負という渋い題材。ただ、金銭感覚がよくわからず、桁が一つ少ないのではと余計なことを考えてしまいました。

 作品情報 2018年フィンランド映画 監督:クラウス・ハロ 出演:ヘイッキ・ノウシアイネン、ピルヨ・ロンカ、アモス・ブロテルス 上映時間95分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2020年劇場鑑賞67本目 



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 【ストーリー】
 家族をも顧みず長年、画商の仕事に打ち込んできたオラヴィ(ヘイッキ・ノウシアイネン)だが、年を取って体調も悪いうえ、小さい画廊の経営も思わしくなく、引退をかんがえていた。ある日、近所の大規模画廊で、画家の署名の入っていない肖像画がオークションに出される予定だと知る。作者不明で値段も安かったが妙にその描きになった。

 ある日、音信不通だった娘レア(ピルヨ・ロンカ)から、問題児の息子オットー(アモス・ブロテルス)を職業訓練で画廊で働かせてほしいと連絡があった。最初は断ったオラヴィだが、久々にあったオットーも絵に関心があり、肖像画の作者探しを手伝わせることに。やがて、絵の画家がロシアの巨匠レーピンのものだとわかり、何としても落札しようとするのだが…

 【感想】
 絵の値ごろ感がわからないのですが、家族をも顧みないでひたすら美術商取引をしていたわりには、商売のスケールが小さい。たかだか日本円にして数百万円が用意できなくてあたふたするというのは、正直美術商の世界でこんな感じなの?と意外に思ってしまいました。逆に他人からみればそれっぽちのものに、そんだけ心血を注ぐのかというのも不思議な感じです。

 当然かもしれませんが、画廊の世界も弱肉強食。大規模画廊からすれば吹けば飛ぶようなオラヴィはカモにする対象でしかありません。客のほうもオラヴィを下にみている様子がありあり。もっとも絵の売買というのは鑑定書とかがないと動かないのかと思いつつ、そういうシーンがないのも不思議でした。

 それはともかく、オットーがいいキャラクターで、今風のちゃらい性格と思いきや、スマホができない祖父のために丁寧に教えてあげたり、祖父が馬鹿にされると代わりに怒ったりと、妙なおじいちゃん子。レアがシングルマザーでオットーを過保護にみて、それを思春期の少年らしくうざがっている様子がみえます。敵の敵は味方ではないですが、母と仲が悪い祖父に同情心もでているよう。このへん母からすれば耐え難いものもあるでしょうし、家族というのは難しい。

 この祖父と孫がタッグをくんで、絵の作者を見つけようとする場面は、淡々としてそれほど時間も割いていませんが、ある意味社会から疎外された2人にとっては幸せな時間でした。しかも、その絵がレーピンだと判明したわけですから。でも、ここでめでたしめでたしで終わらないのが人生のつらいところ。絵の購入代金がなくて追い詰められた行動をとったせいで、オラヴィは思いもよらぬ目に遭ってしまいます。このへんも金や仕事をとるか、家族をとるか、どちらが幸せか考えさせられます。

 全体的に平板で暗い感じの演出ですけど、それもフィンランドの陰鬱な雰囲気を表しているよう。何とも言えない大人の渋い映画でした。
posted by 映画好きパパ at 07:51 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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