2020年03月07日

レ・ミゼラブル

 ユゴーの「レ・ミゼラブル」の舞台となったモンフェルメイユで、移民、犯罪などフランスのシビアな現状を描いた作品。ラストは非常に衝撃的ですが、どちらの側を応援するか、見る人によってわかれそう。

 作品情報 2019年フランス映画 監督:ラジ・リ 出演:ダミアン・ボナール、アレクシ・マナンティ、ジブリル・ゾンガ 上映時間104分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2020年劇場鑑賞68本目 



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 【ストーリー】
 移民が多く、犯罪多発地区のパリ郊外モンフェルメイユに転勤となった警官ステファン(ダミアン・ボナール)は、犯罪防止犯に配属された。先輩のクリス(アレクシ・マナンティ)、
グワダ(ジブリル・ゾンガ)とともにパトロールを開始する。クリスの横暴ともいえるようなやりかたにステファンは疑問をもった。

 町はアフリカ系ギャングとロマたちが一触即発のピリピリしたムードが流れていた。そこへロマのサーカスからライオンの子どもが盗まれ、犯人がアフリカ系の子どもだったことが判明する。両者の衝突を避けるために、ステファンたちは必死で捜査するが、思いもよらないアクシデントが起きてしまい…

 【感想】
 フランスを妙に持ち上げる日本人もいますが、暴動は多いし、犯罪や貧富の差は日本どころではありません。そのリアルな現実がこうした映画をみることでわかります。ラジ・リ監督自身もモンフェルメイユで生まれ育ち、自分が見聞きした体験も映画に盛り込まれているとか。

 2つの集団がいつ暴発してもおかしくない不穏な雰囲気が町にながれます。ステファンはクリスのやりかたに疑問を持ちますが、この町の治安を守ってきたという自負のあるクリスにとって、荒っぽいやりかたをとらなければなめられてしまう。理想通りにはいかないということが観客にもみえてきます。さらに、イスラム教徒の組織、麻薬組織などいくつもの組織が入り乱れ、カオスの極みです。

 一方、荒っぽいながらもバランスをとるために大人たちは妥協します。そのしわ寄せが子供たちにいってしまう。大人は警官もギャングも自分たちのことで手一杯で子供のことなどまともに考えません。既存秩序を守るために犠牲を強いられた子供たちはどんな思いで暮らしているか。フランスだけでなく、日本もアメリカも韓国も世界各地で世代の格差が深刻になっています。僕は大人だからクリスの論理もわかるけど、犠牲になるほうはたまりません。

 この映画の白眉は、クライマックスの前にクリスやグワダの家庭の状況がしっかりと描写されること。悪徳警官でも家族がいるわけで、でも、仕事では他人を痛めつけたり、犯罪を見逃したりしている。人間の複雑さというのがよく描かれていますし、ある意味ピュア、単純な子供にとって、そんな複雑さは理解もできないし、自分たちを押さえつけることへの怒りも爆発するのでしょう。

 ユゴーがレ・ミゼラブルを発表してから150年たっても、貧困層の悲惨さはかわりません。それだけに解決の特効薬もみつかりません。ただただ、悲惨な現実が遠く日本の観客に伝わったとき、何を考えるかはその人しだいなんでしょうね。
posted by 映画好きパパ at 20:58 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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