2020年03月15日

Fukushima50

 福島第一原発事故で現場で事態収拾にあたった吉田昌郎所長ら原発作業員の決死の活躍にスポットをあてた作品。前半の被災シーンは緊迫感あふれ、当時のことを思い出しましたが、終盤はちょっと尻すぼみになった感も。事実をベースにしているのでネタバレありで書きます。

 作品情報 2019年日本映画 監督:若松節朗 出演:佐藤浩市、渡辺謙、佐野史郎 上映時間122分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ湘南 2020年劇場鑑賞77本目



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 【ストーリー】
 2011年3月11日、東日本大震災で発生した大津波は福島第一原発に甚大な被害を与え、全電源喪失、1〜3号機の原子炉と定期検査中だった4号機で通常の冷却機能を失った。このままでは東京を含む東日本一帯に人が住めなくなってしまう。

 福島第一原発所長の吉田(渡辺謙)は部下からの信望が厚く、最前線にいる1・2号機当直長の伊崎(佐藤浩市)とも同じ年で親しかった。吉田や伊崎は事態を収拾するため決死の覚悟であたるのだが。

 【感想】
 前半は完璧といっていいでき。大地震で大きな被害がないのにほっとしていたのもつかの間、津波が押し寄せてきます。そして全電源が喪失し、真っ暗な中、炉心溶融を避けるためにベント(排気)をしなければなりません。防護服をまとっても危険なほど放射線が蔓延するなか、酸素ボンベには20分の酸素しかなく、文字通り命がけで現場の作業員が突っ込みます。

 このへんはその後の経緯をしっていても彼らの努力に心から応援、感謝したくなります。そして、組織がダメダメでも個人の意志と努力で乗り越えようとするいかにも日本人好みの話。一方で、総理大臣(佐野史郎)は怒鳴ってばかりで、東電本店は右往左往して役に立たないどころか足を引っ張ります。そうしたなか吉田は本店と喧嘩しつつ、部下にてきぱきと指示を出していき、まさに日本の中間管理職の鑑といった様子。

 時系列とともに進んでいくのは、それこそシン・ゴジラで描きたかったのはこういうことなんだろうと思わせるやり方。専門用語がとんでも、説明を過剰にいれない演出もよかった。まあ、海外のニュースがでてくるのは、ちょっと凡庸という気もしましたが、本編部分や東電、首相と現場のやりとりは、予想以上にニュートラルで、原発万歳でも反原発にもなっておらずエンタメとして十分成り立っていました。まあ、東京電力ではなく、東都電力の話になっていましたが。

 しかし、後のほうにいくほど、テンションが下がっていきます。米軍のトモダチ作戦もありがたかったのは事実ですが、無理やり絡める必要があったのでしょうか。また、伊崎たちが無事に帰還し、家族と再会するシーンも、ちょっと泣かせに走ったところが鼻につく展開でした。

 さて、佐藤浩市が「俺たちは何を誤ったのか」と聞いて渡辺謙が「自然の脅威を見誤った」というふうに答えるシーンがあります。映画に描かれていませんが、吉田所長は前任の本店原子力設備管理部長時代に、大津波対策をコストがかかると拒否。一方、対策をとった東北電力の原発は被害を免れました。そのことを踏まえた意味なのか、それとも本当に想定外の天災と驚いているのか、大部分の人は後者のようにとらえてしまう危険があると思いました。現実の人間は生きていれば失敗もあるのですから。

 もちろんエンタメ映画にそこまで求めるのは酷なのかもしれません。実は原発事故を扱った映画には「太陽の蓋」(2016)という反原発側の立場からとった作品があり、それと比べると面白い。なお、菅元首相は自分のブログで本作を「よくできた映画だ」と評価しています。左派からは批判がありますが、悪役ぽく描かれている菅氏が評価しているのも興味深い。僕自身は、震災時の首相が理系の菅氏でよかったと思っています。
posted by 映画好きパパ at 07:40 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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