2020年03月17日

黒い司法 0%からの奇跡

 貧しい黒人の冤罪事件に取り組む実在の弁護士の物語。時代設定がもっと前かと思いきや
1990年ごろだというので、黒人差別がここまでひどいのかとびっくり。しかもアメリカでは死刑囚の1割が冤罪だというのですから、いやはやなんとも。

 作品情報 2019年アメリカ映画 監督:デスティン・ダニエル・クレットン 出演:マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、ブリー・ラーソン 上映時間137分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ湘南 2020年劇場鑑賞79本目



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 【ストーリー】
 1988年、ハーバード出身の弁護士ブライアン・スティーブンソン(マイケル・B・ジョーダン)は、黒人差別の残る南部アラバマ州で、貧しい人たちも平等に弁護を受けられるための団体を設立。事務員のエバ・アンスリー(ブリー・ラーソン)の協力で活動を始めた。

 刑務所を訪れたブライアンは、若い白人女性を殺した罪で死刑判決を受けたウォルター・マクミリアン(ジェイミー・フォックス)という死刑囚と面会する。彼はたった1人の証言で有罪とされ物証も何もないうえ、アリバイはずべて無視されていた。彼の無罪を信じ、弁護活動を引き受けたブライアンだったが、差別意識が強いなか、いやがらせも相次ぎ…

 【感想】
 黒人の活躍する映画は黒人監督という印象がありますが、デスティン・ダニエル・クレットン監督は母親が日系、父親が東欧系ということで、割と客観的に描いている印象を受けました。クレットンはこれまでも「ショート・ターム」「ガラスの城の約束」と弱者の側にたった作品を撮っており、単に黒人差別だけでなく、人種、資産、地位で差別される側にたっているという気がします。

 本作も、ブライアンが迫害を受けているシーンをもっと盛り上げてとるという手法もあったでしょうが、それも含めてできるだけ冷静に描くことで、むしろ実態はこんなにひどかったということを明らかにしています。例えば、ブライアンが刑務所に依頼にあうために訪れるとき、刑務官から素っ裸になるよう強要されます。弁護士にこんなことを強いるのはもちろん違法。けれども、ブライアンは怒りを抑えていうことを聞きます。こういうことを繰り返しみているうちに、差別意識がぬぐいされないことであることがわかります。

 事件の起きた町は1960年代の名画「アラバマ物語」の舞台。無実なのに殺人犯となった黒人を弁護士が救うという話です。住民たちはそのことを誇りに思っているのに、実際、同じようなことが起きると、平気で黒人を犯人扱いする。また、本作で違法捜査で黒人を犯人にでっちあげた保安官(マイケル・ハーディング)は、つい最近まで保安官に当選しつづけていたそう。アメリカの闇を感じさせられます。

 さて、もう一つこの映画の特徴は死刑制度の是非も問いかけていることです。ウォルダーの隣の房のハーバート(ロブ・モーガン)がベトナム戦争のPTSDから犯罪を犯し、死刑になる様子も丹念に描いています。遺族からすれば死刑にしてほしいという感情もあるでしょうが、罪を人間が裁くというのはどういうことなのか。僕自身は死刑賛成派ですけど、深くこの問題を考えさせられました。

 マイケル・B・ジョーダンのまっすぐ前を見つめる表情は何ともたまりません。正義を貫くには意志と信念が重要だということを体現してくれます。そして、無罪を立証するために必死に努力する姿、自分の信念を周囲に及ぼすリーダーシップもうまく表現していました。ブリー・ラーソンはクレットン作品の常連ですが、本作では助演に徹しており、死刑囚役の名優
ジェイミー・フォックスと合わせて、社会の不合理と戦う様子を静かに表現していました。
posted by 映画好きパパ at 07:37 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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