2020年03月18日

ジュディ 虹の彼方に

 往年のスター、ジュディ・ガーランドの落ちぶれた姿をレネー・ゼルウィガーが好演し、見事アカデミー主演女優賞をとりました。ステージの魔力と魅力を考えさせられる秀作です。

 作品情報 2019年アメリカ映画 監督:ルパート・グールド 出演:レネー・ゼルウィガー、ジェシー・バックリー、フィン・ウィットロック 上映時間118分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:横浜ムービル 2020年劇場鑑賞80本目



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 【ストーリー】
 「オズの魔法使い」で世界的な子役スターとなったジュディ・ガーランド(レネー・ゼルウィガー)。しかし、長年の薬物と酒で撮影に穴をあけ、今は2人の小さな子供を抱えても、借金を返すために家にもすめず、どさ周りの日々だった。

 そこへ、ロンドンからツアーの招待が来る。やむなく子供を元夫のシド(ルーファス・シーウェル)に預けて、ロンドンに向かったジュディだが…

 【感想】
 落ちぶれたスターという題材はハリウッドが大好き。酒、麻薬、異性におぼれるのが定番で、本作もその系譜にあります。個人的には子役として空前の大活躍で、大人になってからは外交官や財界人としても大活躍したシャーリー・テンプルの映画をみたいのですが、ハッピーエンドは求められてないのでしょうかね。

 ただ、ジュディの場合、子役時代にMGMの最高権力者であるルイス・B・メイヤー(リチャード・コードリー)に、睡眠時間もないほどこきつかわれたうえ、眠気覚ましに薬物を与えられていたという同情すべき理由があります。世間のことなど何も知らない小娘のジュディ(ダーシー・ショー)に、メイヤーが言葉巧みに騙してこき使う姿は吐き気をもよおすほど。ハリウッド黄金期で夢を与える仕事の裏側がこんなに腐っているというのは本当に皮肉ですね。

 そしてジュディの場合、2人の幼い子供への愛情が何よりもまさっていたというのも痛々しい。メイヤーから「平凡な母親になってもいいのか」みたいな脅しを受けたジュディが、子供をどうやって愛したらいいかわからない、毒母になってしまうのもこれまた悲劇としかいいようがありません。子供たちもジュディの愛情はわかっているけど、でも、ジュディと一緒に暮らせない。そんな寂しさからまた酒や男に逃げ込んでしまう彼女は本当に哀れです。

 でもジュディは、一度彼女をトップに押し上げたショービジネスの世界も忘れることができません。ロンドンの初日を前に、怖気づいて、臨時の世話役のロザリン(ジェシー・バックリー)になだめすかしされながら舞台に上がった瞬間、あっという間に観客を魅了させる才能はまさに天賦のもの。最初はジュディのわがままに振り回されていたロザリンが、ジュディの悲しみ、孤独とスター性を知るとともに、心から尊敬するようになる姿は、ジュディの死後半世紀以上たってこの作品でふれる僕ら観客も同じようです。

 どこまでが史実かわかりませんが、ジュディが気さくにサインに応じ、当時は迫害されていたゲイのファンの家で料理を作るといった様子をみると、彼女は善人で、ただ、ひどい大人たちから身を守るすべがないままきてしまったことが痛いほどわかります。彼女の絶望、孤独、そしてステージでのファンとの交流でしか得られない幸せが良く描かれています。一方で、観客との間でトラブルがおきるなど、ステージも結局安住の地でなかったのもなんとも悲劇です。

 レネー・ゼルウィガーは、ジュディの複雑な感情を表現するとともに、吹き替えなしで数々のナンバーをうたいこなし、オスカー受賞も納得です。子役時代を演じたダーシー・ショーも清潔感があって、無垢な少女が複雑なジュディになる様子が容易に想像つく好演でした。「虹のかなたに」ぐらいしか知っている曲はなかったけど、ジュディが半世紀以上たっても愛されている理由がわかるような気になりました。
posted by 映画好きパパ at 07:07 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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