2020年04月04日

天使の分け前

 銀座シネパトス、渋谷シアターNといった味のある小規模映画館が次々と閉館していくなか、銀座テアトルシネマも閉館が決まり、そのクロージング作品です。シネパトスをはじめとするB級映画上映館が閉館になるのもさみしいですが、テアトルシネマのようにカンヌ常連作御用達のちょっとハイソな映画館が閉まるのもさみしいですね。平日の夜にいったのですが大勢の映画ファンで賑わっており、私がラスト2番目でぎりぎり見ることができました。

 【ストーリー】
 グラスゴーの若者ロビー(ポール・ブラニガン)は、かつてはチンピラだったが、恋人のレオニー(シヴォーン・ライリー)が妊娠したのをきっかけにまっとうな職業につこうとする。しかし、レオニーの家族をはじめ世間の目も冷たく、町の不良から絡まれてつい手を出して捕まってしまった。

 社会奉仕活動を言い渡されたロビーだが、世間から迫害される彼に、現場監督のハリー(ジョン・ヘンショウ)は同情的。ロビーをはじめ、社会奉仕活動を言い渡された若者たちを引き連れ、ウイスキーの試飲会に連れて行く。そこでロビーの思っても見ない才能が明らかになり…



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
 【感想】
 英国の階級社会やエスタブリッシュメントに痛烈な批判を加え続ける巨匠ケン・ローチ監督の最新作。ローチ監督は「サッチャーの葬儀を民営化しろ」といって物議を醸すなど、エリート嫌いは筋金入り。ただ、これまでの作品は社会の格差を正面から描いた苦いものが多かったのにたいして、本作はハートフルコメディに仕上げています。

 もっとも、英国流のほろ苦いユーモアにくるまれているので、日本的なウェルメイドさを期待すると、あてが外れます。カンヌの審査員賞を受賞していますが、日本では賛否両論といったところ。ただ、映画のできよりも、英国で苦しむ下層階級の若者を救いたいといったほうを重視したといえるでしょう。

 英国の若者の失業率はなんと20%を超えています。日本は就職難と言われても若年層の失業率が8%なのに比べると、いかに高いかがわかります。しかも、日本以上の階級社会であり、社会の底辺の若者が上層にいくというのは限りなく困難です。ロビーが地元なのに高級ウイスキーを飲んだことないというのも、そういう事情が背景にあるのですね。だから、多少えぐい方法を使ったり、物事がうまく良すぎても、ハッピーエンドにするというのはありかと思います。

 主役のポール・ブラニガンも失業者だったのが、ローチ監督に見出されて映画初主演というシンデレラボーイぶり。それだけに、失業者のうらぶれかた、自由への葛藤などがよりリアルに感じます。なお、天使の分け前とはお酒好きの方はご存知だと思いますが、ウイスキーを樽で醸成させるときに、数%が蒸発してしまうこと。私も北海道・余市のニッカウイスキーの工場を見学したことがあり、懐かしく思いました。最近、ウイスキーはとんと飲んでいませんでしたが、本作ではワインのようなブランドテイスティングがあったり、うまそうに見えたので、機会があれば飲んでみようかな。★★★★(銀座テアトルシネマ)
【2013年に見た映画の最新記事】
posted by 映画好きパパ at 08:47 | Comment(0) | 2013年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。