2020年04月23日

嘆きのピエタ

 韓国の鬼才、キム・ギドク監督が、原点に回帰したかのように、韓国社会の底辺で生きる人たちの残酷な現状と孤独な魂をえぐりとった作品でした。見るのに結構疲れるかも。

 【ストーリー】
 ガンド(イ・ジョンジン)は天涯孤独の身だった。闇金の取り立て屋として、支払えない債務者を障害者にして保険をだまし取ることを仕事にしており、債務者からは悪魔のように言われていた。

 ある日、ガンドのもとに中年の女性ミソン(チョ・ミンス)が現れ、「自分はお前を捨てた母親だ」という。初めは不審に思い、邪険にしていたガンドだが、捨てたことをしきりに謝罪する彼女に、次第に心を開いていく。



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 【感想】
 この作品も韓国経済の構造的欠陥が背景となっています。韓国経済は財閥の輸出主導型の経済になっており、いくら、経済が好調でもみんな財閥にいってしまい、大部分の中小企業は搾取されるだけ。しかも、サムスンなどの高度な部品は日本製を使っており、昔ながらの中小企業は極貧にあえいでいます。従って、返せないと分かっていても闇金に手を出していまうというのは、日本以上に厳しい彼らの状態を描いています。

 しかも、ガンド自身が孤児であり、いままでの辛酸なめた人生から、他人を信じることできない。でも、所詮はちっぽけな闇金の手先でしか過ぎない人生。取り立てを受けた男が、子供の頃から懸命に働いてきたのに、何のために生まれたのか分からない、と述解する場面がありましたが、それはガンドも同じこと。ミソンもそうです。川の向こうの高台には、高層ビルが立ち並ぶのに、ガンドたちが住む手前の下町は町工場が並ぶ、スラム一歩手前の町並み。その対比がなんともいえません。

 そして、韓国映画+キム・ギドクということで、痛そうなシーンの本当にすさまじいこと。SAWのようなグロさを売りにしたホラー映画と違って、目をそむけたくなるほど。直接そういう場面を移さないけど、恐怖の表情や悲鳴などであらわすのは、うまいですね。そして、なにより、見ているこちらの心がズタボロになりそうな、救いのない物語。

 ストーリーとしては、ある程度先読みができてしまうし、最近ファンタジーっぽさがあったギドクの作品としては、先祖返りかと思ってしまいましたが、こういう作品は他の監督ではなかなかとれないですよ。また、母性による歪んだ愛情というのは、「ポエトリー」とか「母なる証明」とか、韓国映画ならではのグロテクサだけど、同じ東洋人なのか、琴線に触れる部分もあります。お金がなにかという、人間にとって本質的な命題もあって、ベネチア金獅子賞も伊達ではない作品でした。★★★★(渋谷Bunkamuraルシネマ)
【2013年に見た映画の最新記事】
posted by 映画好きパパ at 21:05 | Comment(0) | 2013年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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