2020年04月25日

風立ちぬ

 宮崎駿監督の5年ぶりの新作で、主役の声に庵野秀明を起用したことからも賛否両論がある作品となりましたが、個人的には、最近のジブリ作品では一番感動したかも。

 【ストーリー】
 大正から昭和にかけての日本。関東大震災、昭和恐慌、そして、台頭する軍国主義と、若者たちにとっては生きるのに難儀な時代であった。子供のころから飛行機にあこがれていた帝大生の堀越二郎(声・庵野秀明)は、関東大震災のさなか、美しい令嬢・菜穂子(瀧本美織)たちを助ける。

 卒業後、名古屋の三菱内燃機製造に就職した二郎は戦闘機作りに邁進する。欧米各国に比べて技術力に劣る日本でも、国産飛行機を飛ばそうと苦労する二郎だが、なかなかうまくいかない。そんなおり、軽井沢に避暑へいった二郎は菜穂子と偶然、再会する。



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
 【感想】
 堀越二郎と堀辰雄にささげるとあるように、零戦の設計者として有名な堀越二郎の若き頃と、この映画の同名の「風立ちぬ」などの小説で知られる堀辰雄の小説っぽい、純愛パートの二つから成り立っています。この二つの組み合わせぶりがなんとも素晴らしい。戦闘機設計のために心血をそそぎ、家庭を顧みられない二郎と、彼を支えるための奈緒子の行動というのは、究極の純愛ストーリーといえましょう。

 このうち、飛行機については、宮崎駿監督のメカ、飛行機好きというのがストレートに伝わってきます。カプローニ伯爵(野村萬斎)は実在のイタリアの飛行機設計家で、「紅の豚」がイタリアが舞台だったように、宮崎監督のあこがれの人。二郎と宮崎監督の目線がちょうど重なり、飛行機への熱き思いが伝わってきます。夢を通じてカプローニと二郎が触れ合うというのは、どう考えても宮崎監督のラブレターでしょう。

 もちろん、飛行機は武器として使用され、戦闘機や爆撃機は大勢の人を殺す道具。軍国主義的などと批判する向きもある意味ですが、結局、飛行機が帰ってこなかったり、呪われた道具であるというのは、宮崎監督も映画の中の二郎もわかっているし、映画の中でもさりげなく伝えています。しかし、まさに男のロマンという感じで、技術へのあこがれというのは多くの男の子が持っているものであり、その思いが素直に伝わってきました。

 一方、奈緒子の造形が男性から見れば理想ともいえる究極の女性。美人で頭もよく、男性をたてて惜しげなく愛を二郎に注ぎます。さらに、劇的な再会や病気というドラマティックな出来事もあります。こんな女性と巡り会えるだけで男としては最高の幸せ。でも、時代もあるのでしょうか、仕事に打ち込む二郎にとって、家族と触れ合う時間をとることがなかなかできません。王道ともいえる純愛路線をみても、イヤミを感じさせないのはアニメならでは。奈緒子は高橋留美子のキャラクターにもみえましたが、今までのジブリのキャラクターとはちょっと違った女性に感じました。

 また、アニメならではの表現はジブリにしかできないものでしょう。関東大震災のシーンは4分間予告でも流れていますが、人の声を使った効果音も含めて、幻想的だけど地震の怖さというものをストレートに感じさせます。東日本大震災後に、大地震を表現するにはこういう方法があるのかと、驚かされました。また、紙飛行機の飛ばし合いや、草原の中を離陸する飛行機も、ジブリっぽい華やかさ、美しさが満載で、ジブリでしかできない表現でした。

 問題は主役を演じた庵野の声で、いくら俳優、声優ではないといえ、あまりに棒セリフの乱発。プロではないし、宮崎監督はこうした奇をてらった起用をよくするのだけど、今回は庵野の声に慣れることができるかが、この作品をどう評価するかに直結するかも。瀧本、野村や、同僚役の西島秀俊ら、俳優陣の声がはまっていただけに、一人だけ外れていた庵野を起用したというのは、何らかの意図があるのでしょうかね。でも、最後まで見ると、逆に庵野以外の声というのは想像がつかなくなりましたが。あとユーミンの曲もよかった。★★★★(109シネマズ港北)
【2013年に見た映画の最新記事】
posted by 映画好きパパ at 20:39 | Comment(0) | 2013年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。