2020年04月27日

終戦のエンペラー

 昭和天皇の戦争責任という日本映画では絶対できないテーマを取り上げたハリウッド作品。太平洋戦争から70年近くたった今、こうした視点は貴重だと思いますが、結構、史実と違うところが気になりました。

 【ストーリー】
 終戦後、日本に乗り込んできたマッカーサー元帥(トミー・リー・ジョーンズ)は、昭和天皇を戦犯にしろという米本国をはじめとする意見に反対し、日本を統治するためには昭和天皇の存在が絶対必要だと確信。部下のフェラーズ准将(マシュー・フォックス)に天皇の戦争責任がないことを証明するよう命ずる。

 フェラーズは東条英機元首相(火野正平)、近衛文麿元首相(中村雅俊)らを取り調べるが、天皇に戦争責任があったかは判然としない。実はフェラーズは戦前、日本人女子留学生のあや(初音映莉子)と付き合い、日本を訪れたことがある知日派だった。フェラーズは戦犯の調査とともに、戦争で行方がわからなくなったあやの行方も探していく。




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 【感想】
 映画はフィクションだから、すべてをリアルにする必要はありません。例えば、政治ドラマだけでは観客が退屈するおそれがあるので、架空の女性を登場させるというのは許容範囲だと思いますし、フェラーズとあやのパートや、あやの養父である鹿島大将(西田敏行)とフェラーズの会話などは、西田の迫力もあり、興味深く思えました。

 しかし、最もダメなのは、当時の日本の権力者にとって、もっとも大事なのは天皇制を存続させることで、天皇を戦犯にしないためならどんなことでもしたはずなのに、この映画では東条、近衛らは、全然そういう態度をみせないことです。根底の部分で史実と違うわけですから、いったい、何のためにこの映画を作ったのかが分からない。そもそも、この映画の東条や近衛が何をしたかったのか、さっぱり分からない。

 また、重要人物として、宮内次官の関屋貞三郎が出てきますが、この人は戦争のはるか以前の1933年には次官をやめているのですよね。なぜ、でてきたのか不思議に思っていたら、この映画のプロデューサーの奈良橋陽子は関屋の孫であるため、ということが書かれていました。その真偽はわかりませんが、そう考えない限り、関屋というマイナーな人物が重要な役割を果たす理由がわかりません。

 この時代の昭和天皇を扱った外国の作品ではソクーロフの「太陽」があり、「太陽」のほうが、はるかにフィクションの度合いが強いように一見みられますが、本質的な日本の理解では「太陽」のほうが上だったと感じました。まあ、それでも、こうした映画が作られ、映画鑑賞を気に、日本現代史に関心を持つ人がひとりでも増えればいいと思いますが。★★★(109シネマズグランベリーモール)
【2013年に見た映画の最新記事】
posted by 映画好きパパ at 20:11 | Comment(0) | 2013年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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