2020年05月02日

許されざる者

 イーストウッドが西部劇を蘇らせたといわれるハリウッドの名作を日本でリメイクという大胆な試み。李相日監督と渡辺謙の組み合わせも映画ファンなら見逃せないでしょう。

 【ストーリー】
 元幕府軍で人斬り十兵衛(渡辺謙)と言われた男は明治政府の目を盗み、北海道の片隅で幼い子供二人と暮らしていた。彼のところに旧友の金吾(柄本明)が現れ、賞金首を討ちに行こうと誘う。奥地の村の女郎部屋で、ささいなトラブルから遊女なつめ(忽那汐里)の顔に醜い切り傷をつけた開拓民2人に、女郎たちが懸賞をかけたのだ。

 一度は誘いを断った十兵衛だが、困窮した生活から子供達を助けるため、金吾に同道することに。途中、アイヌ出身の青年、五郎(柳楽優弥)も加わった。だが、村の警察署長、大石(佐藤浩市)は絶対権力者として、賞金稼ぎの存在など許さなかった。



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 【感想】
 オリジナルはかなり以前に見たので、あやふやなところもありますが、リメイク版は舞台を日本に移したものの、基本的にはオリジナルを踏襲しています。ただ、いくつか変えているところがあり、日本向けの作品にしたかったのでしょうが、僕はそこはオリジナルより落ちるというふうに思いました。

 まず、十兵衛の造形ですが、渡辺謙に遠慮したのか、オリジナルのイーストウッドが、自ら「女も子供も殺した」とうそぶくような悪人だったのに、十兵衛は日本の昔ながらのヒーローのやむにやまれず相手を殺すという存在に変えられていました。ゆえに、人を殺した過去の苦悩というのが、薄まってしまった感があります。

 また、大石もこいつは殺されても仕方がないと思わせるような悪党になっていたのも違うと思います。オリジナルの保安官は、殺されるような悪いことをしていないのに、マニーからすると許されざる者だった。さらにいえば、殺される種は自分では気づいていないのに撒いていた存在でした。ゆえに、善悪とはなんであるのか、観客に考えさせます。孤独に家を一人で立てているという人間としての弱さがそうでした。しかし、大石は記号的な悪役キャラでしかありません。

 開拓民のうち気弱で犯行を止めようとした弟(三浦貴大)のほうが最初になぶり殺しになるのは、オリジナル同様、理不尽さ、何を許して何が許されざるものかを考えさせられる存在でしたが、渡辺謙と佐藤浩市がこれまで彼らが演じてきた役に似たような役でしかなかったため、結局、「許されざる者」の意味合いから外れてしまいました。勧善懲悪でないはずなのに、一種の勧善懲悪になってしまっているからです。

 北海道ロケをはじめとする風景の美しさや、クライマックスの大殺戮シーンは、本作の方が上だといえます。あるいは、オリジナルを見ていなければ、もっと高評価にできたでしょう。忽那汐里の終盤のナレーションは余計に感じましたが、それ以外、脇役やエキストラに至るまで配役ははまっていました。また、アイヌ民族問題を絡めるという日本独自の翻案もよかったと思います。それでも、映画史に残る名作を外国がリメイクするのは、名監督、名優でも難しいなあと思わされました。★★★(TOHOシネマズ渋谷)
【2013年に見た映画の最新記事】
posted by 映画好きパパ at 21:11 | Comment(0) | 2013年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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