2020年05月11日

パッション

 サスペンス映画の巨匠、ブライアン・デ・パルマ監督の久々の新作サスペンス。フランスのアラン・コルノー監督映画「ラブ・クライム」(未見)のリメイクですが、畳み掛けるような終盤のどんでん返しとBGMの使い方に、ああ、デ・パルマ作品を見たなあ、と満足させられました。

 【ストーリー】
 大手広告会社のドイツ支社長クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)は、仕事にも恋にもやり手だが、美貌とは裏腹に自分がのし上がるためには平気で人を裏切る冷酷な人物。部下のイザベル(ノオミ・ラパス)が考え出したアイデアを横取りして、ニューヨーク本社への昇進を決めた。

 ところが、クリスティーンの部下で愛人のダーク(ポール・アンダーソン)がイザベルと、関係をもってしまったのだ。さらに、イザベルがアシスタントのダニ(カロリーネ・ヘルフルト)の協力で、クリスティーンを出し抜いて広告をネットにアップしたところ、世界的な評判になり、社内の評価も逆転してしまう。恋も仕事も敵対関係に陥った2人。そこへダークが巨額の横領をしていることが発覚。クリスティーンはダークを切り捨てようとする。そしてとうとう殺人事件が起き…



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 【感想】
 「パッション」というとメル・ギブソンの作品を思い出しますが、まったく関係ない作品に同じような題名をつけると混乱するので、配給会社は考えてもらいたいところです。

 さて、前半はドロドロした人間関係を描いた企業ドラマ。よく日本企業を批判する人が、外資系企業は素晴らしくて、飲みニケーションとか必要ないし、無駄な残業もせず休みも取れるなんて、寝ぼけたことを言っていますが、一流企業で出世するにはむしろ肉食系の米国系企業のほうがはるかに激しい。ここでも深夜、上司に呼び出されて無理難題に応じたり、ホームパーティーに呼ばれてそこで恥をかかされたりなど、会社勤めの身からすると、ひたすらえぐい場面が続きます。

 米国企業らしいな、と思ったのが、出世争いをするのが女同士で、まさに女の敵は女ということですね。恋には強いはずのダークが仕事では全然だめで、やがて恋の分野でも女にボコボコにされてしまうというのをみると、哀れなのは男ばかりという気もします。後半に出てくる警部(ライナー・ボック)も、善良そうでしたが、無能でしたしね。

 レイチェル・マクアダムスは支社長をやるには若すぎる気もしたのですが、実は、彼女とノオミ・ラパスは実年齢は同じ34歳。うーむ、イザベルのほうがはるかに年上だと思ってました。マクアダムスは色気とは程遠く、キュートな小悪魔という、今までのパルマ監督のファムファタールとは違った感じの悪女になっていました。ノオミ・ラパスの陰性な表情とも好対照。

 さて、殺人事件が起きてからはパルマ節が炸裂。とくに殺人の場面は、画面が分割され、右側で殺人の様子を、左側でバレエ「牧神の午後への前奏曲」を流すパルマらしい象徴的な映像に。私は「牧神の午後への前奏曲」の内容を知らなかったので意味がわかりませんでしたが、帰ってパルマ監督のインタビューをみてから納得できました。映画は総合芸術だから、欧米文化の基礎知識がないとわからない場面もあるんですよね。

 ミステリーとしても犯人の使ったトリックはひねってある上、実際に起きたのか、それとも象徴的な出来事だったのか、どちらとも解釈できる場面もあるので、このへんもパルマ節が好きな人はたまらないでしょう。★★★★(TOHOシネマズららぽーと横浜) なお、クリスティーンたちが手がけているCMがパナソニックのスマホのもので、現実では既に撤退しているものだったり、殺害現場に「北海道ラーメン」ののぼりがあったりと、日本絡みのシーンもあってクスリとしました。
【2013年に見た映画の最新記事】
posted by 映画好きパパ at 20:12 | Comment(0) | 2013年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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