【ストーリー】
フランスの田舎町で小さなレストランを経営していたオルタンス(カトリーヌ・フロ)は、いきなり大統領宮殿から呼び出され、ミッテラン大統領(ジャン・ドルメッソン)のプライベートな食事を作るシェフに任命される。
フランス大統領宮殿では、大統領も職員も主厨房のシェフが作っていたのだが、過剰な装飾に辟易としたミッテランは素朴な「祖母の料理」を食べたい、と女性シェフを任命したのだ。よそものの女性が抜擢され、男性ばかりのコックたちは面白くない。また、複雑な官僚制度も、彼女が自由な料理作りの邪魔をする。しかし、彼女は次々にアイデアを出していき、ミッテランから絶大な信頼を得る。
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【感想】
女性のシンデレラストーリーかと思いきやそうではなく、職人的な食のプロが周囲の偏見や無理解に悩まされてしまう物語でした。彼女は大統領お抱えシェフのあとは、南極料理人!になるので、物語は寒々とした南極から始まります。そして、南極の現在と、大統領宮殿の過去が交互に映し出される手法をとります。
先輩の男性シェフたちも、彼女を腹ただしく思うものの、NHKのドラマ「ごちそうさん」に出てくるような、露骨ないびりはしません。また、官僚制度も同様で、セキュリティーとか大統領の健康を考えれば、自由奔放な料理を作りたいオルタンスとぶつかってしまうのはしょうがないとも思えるほど。従って、メインのストーリーにはそれほど爽快感はありませんでした。実話ベースなので、あまりひどい扱いをするわけにもいかないでしょうしね。
大統領は彼女の料理を気に入っているのに、全体を統括する責任者ゆえに、彼女だけえこひいきするわけにいかない、という大人の配慮もありました。この手の働くドラマだと、大物が鶴の一声で主人公の苦境を救ったりするのですが、見ている方は盛り上げれても、史実ベースの作品だと使いにくいということでしょうか。その代わり、偶然、大統領とであってしまい、お互いの思いを吐露するシーンはよかった。
さて、物語の主役はオルタンスの作った数々の料理。僕からすれば豪華絢爛なんだけど、これでも、フランスの家庭料理をメーンとした「祖母の料理」だそうです。ああ、こういう料理って日本で食べたら、半月分ぐらいの給料がとんじゃうんだろうなあ。スクリーンの中の料理がここまで美味しそうにみえた作品はこれが初めてでした。★★★(品川プリンスシネマ)