【ストーリー】
江戸時代、加賀藩の側室、お貞の方(夏川結衣)付けの女中、春(上戸彩)は料理屋の娘ということもあり、天才的な味覚と料理の腕前を持っていた。それを見込んだ、台所方(江戸屋敷のシェフ)の舟木伝内(西田敏行)は自分の跡取り息子、安信(高良健吾)の嫁になるよう懇願する。
町人の出身で、しかも結婚に失敗した出戻りということもあり、結婚を辞退した春だが、土下座までされて、ついに結婚を決意する。安信は次男で、本来なら好きな剣術の道を歩むため、剣術指南の養子になるはずだった。それが兄の急死で急遽、父のあとをついで料理人になるハメに。同じ武士でも「包丁侍」と揶揄されるため、仕事に身が入らず、伝内は息子を助けるため、料理の達人の春を嫁に迎え入れたのだった。そのころ、加賀藩の上層部では強烈な派閥抗争からお家騒動が起きていた。それはやがて舟木家にも…
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【感想】
家老役が鹿賀丈史ということもあり、もっとお気軽な、料理上手の嫁にならって冴えない夫が出世していくお気楽な物語と思いきや、時代劇真正面の作品で、生真面目なものでした。加賀藩だけに鹿賀丈史を起用したのか、それとも「私の記憶が確かなら…」というか、もっとコメディタッチを期待していたのですが。正直、夫婦愛を丁寧に描いていますが、真面目過ぎて、薄味な作品といえます。朝原雄三監督は釣りバカシリーズの監督で西田敏行もでているのにね。
ただ、それを補うのが、贅を尽くした加賀料理の数々。監修は、先祖が加賀藩の料理方だったという、 加賀料理の老舗、大友楼ということもあり、見たことのないような料理がたくさん出てきて、うーむ美味しそう。江戸時代にこんなゴージャスな料理があったとは。また、能登半島の海産物やゆべしなど、郷土料理もいっぱい。個人的には、江戸のシーンで、春が明日葉をしっかり天ぷらにしていたのが、僕の大好物だったのではまりました。
ちょっと残念だったのが、上戸、高良とも時代劇になじんでいないのか、西田とのシーンになると、ちょっと浮かび上がってしまったところです。ダメ夫を頑張らせる新妻の健気さというのはよく表現できていましたが、やはり、上戸彩ということが目についてしまって。若手女優でも綾瀬はるかや北川景子の時代劇はそんなに違和感感じなかったのになあ。ソフトバンクのCMを思い出してしまったからでしょうか。
あと、史実とフィクションの部分の結びつきが今ひとつ納得できません。例えば、お家騒動が起きているのに、毒を仕込む懸念がある料理方に関係者をそのまま配置していていいのか、というのは最大の疑問かも。勢いがあれば、そうした疑問を吹き飛ばしてくれるのですが、丁寧に作ろうとしたのが、かえって考える余地ができてしまったのかもしれません。★★★★(TOHOシネマズ川崎)
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