2020年07月09日

いつくしみふかき

 どうしようもなく小悪党の父に赤ん坊のころ捨てられ、ニートになった青年。2人が思いかけずに再会したことで起きるヒューマンドラマですが、とにかく映画初主演の渡辺いっけいの小悪党ぶりに引っ掻き回された感じでした。

 作品情報 2019年日本映画 監督:大山晃一郎 出演:渡辺いっけい、遠山雄、平栗あつみ 上映時間107分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:テアトル新宿 2020年劇場鑑賞108本目



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 【ストーリー】
 30年前、長野県の山村。加代子(平栗あつみ)が出産しているさなか、夫の広志(渡辺いっけい)は実家から金品を持ち去ろうとしてるところを加代子の弟(小林英樹)にみつかり、重傷を負わせて逃亡する。もともと町から流れ着いた広志は働かずに加代子に暴力を振るい村からの嫌われ者だった。村人につかまりリンチにあいそうになた広志だが、隣町・飯田の牧師、源一郎(金田明夫)が止め、広志は村から追い出される。

 30年後、二人の子の進一(遠山雄)は、村人たちから「悪魔の子」と白い目みられたうえ、加代子の過保護もあり、まともに働けず、親のすねをかじって暮らしていた。しかし、村で空き巣があり、疑われた真一は源一郎のところに転がり込む。一方、けちな詐欺がばれて逃亡中の広志も教会に助けを求めに来た。2人は互いに親子と知らずに教会で暮らしだすのだが…

 【感想】
 ロケ地の長野県南部は何度かいったことありますが、とんでもない山の中。それでいて映画も触れられていますが、リニアが通るので土地の価格が跳ね上がったりしています。この八ツ墓村に出てきそう因習にとらわれた山村と、プチバブルをみこして有象無象の小悪党がやってくる飯田とが隣町(といって車で30分ぐらいでしょうが)というのはいかにも映画的な舞台です。

 さらに、広志がとことん情けない小悪党。ちんけな詐欺や美人局で小銭を稼ぐその日暮らしの生活をしています。もともとサイコパス気質があるのか、反省したふりをしてもうわべだけ。友人も手下も平気で裏切ります。それでもどこかにやさしさがあったのか、加代子も源一郎も複雑な思いを彼に抱いてます。この一筋縄でいかない役を、ベテラン渡辺がさすがの演技。彼が出てくるだけで、次に何をするのかと期待させてくれます。

 一方の遠山は大山監督と「劇団チキンハート」を運営している演劇畑の人らしく、渡辺、金田の両ベテランにひけをとらない存在感。一見、何を考えているのか分からないけれど、村人や加代子によって、こんな青年になったとよくわかる演技でした。父子の愛憎や、迷惑をかけっぱなしの関係は、実際に自分がそういう目にあったら嫌だけど、ドラマチックでみていて飽きません。

 とはいえ、邦画特有のねちっこい情景、田舎がロケ地ならではの陰湿な雰囲気は、これまたこちらの心のかさぶたをこじあけられるよう。ラストも何とも言えない感触を抱いてしまいました。

 とはいえ、美人局をめぐるどたばたとか、佐藤隆太、塚本高史といったメジャーな役者がカメオ的におかしな役をやっているとか、みていてのしんどさが緩和される場面もあり、上映時間もまとまっていることから、新人監督なのに上手いつくりだと思わせました。
posted by 映画好きパパ at 07:03 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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