2020年07月10日

悪の偶像

 韓国映画らしい、息もつかない展開とえぐさが堪能できます。ただ、後半は衝撃的な展開を優先させるためか、登場人物の行動原理がよくわからないところもあり、ちょっともったいなかった。

 作品情報 2019年韓国映画 監督:イ・スジン 出演:ハン・ソッキュ、ソル・ギョング、チョン・ウヒ 上映時間144分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:チネチッタ川崎 2020年劇場鑑賞109本目



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 【ストーリー】
 クリーンさが人気のソウル市議ミョンフェ(ハン・ソッキュ)は次期知事選を狙っていた。ところが出張から帰宅すると、衝撃的な事態が起きる。息子のヨハン(チョ・ビョンギュ)が飲酒運転で若い男性をひき殺し、証拠を隠滅しようと遺体を自宅に持ち帰っていたのだ。ミョンフェは考えた末、遺体を事故現場に戻し、ヨハンをひき逃げだけで自首させることにした。そうすれば死体遺棄の罪を逃れるからだ。

 ところが被害者の父、ジュンシク(ソル・ギョング)は、警察であったミョンフェに嫁のリョナ(チョン・ウヒ)はどこかと問いただす。事故当時2人は新婚旅行中で、息子はひき殺されたのに、嫁のリョナが消えてしまったのだ。もし、リョナが事故を目撃していれば嘘がばれてしまう。あせったミョンフェはリョナの行方を捜す。一方、ジュンシクもリョナが心配で独自に探し出していた。果たしてリョナは…

 【感想】
 「シュリ」「八月のクリスマス」と主役を務めていたハン・ソッキュは序盤、イメージ通り、クリーンな政治家と思わせます。しかし、息子が事故を起こすとともに、目の前の出世に目がくらみ、狡知さを丸だしに。対外的には息子を自首させたことで、クリーンさを保ちます。さらに、貧しい暮らしをしているジュンシクを金で黙らせようとします。

 これに対して、ジュンシクは一人息子のうえ知的障害をもって大事にしていた息子を失い、怒りをぶつけます。知的障害の貧乏人だからろくな相手はなく、中国から不法入国した風俗嬢を、滞在許可とひきかえに結婚の約束をさせたもの。この底辺でもささやかな幸せを得ようとした親子が、卑劣な権力者によって踏みにじらる。その理不尽さへの怒りは見ているこちらにも伝染していきそうです。

 興味深いのはリョナが、この映画最凶といっていいほどの存在。同じく中国から不法入国した姉からは、悪魔のようだとまでいわれます。「コクソン」で独特の雰囲気をみせたチョン・ウヒが、その演技すら普通に見えるような怪演をみせ、加害者の父、被害者の父の2人を振り回します。そして、ストーリーをとことん混沌にさせます。

 3人だけでなく有象無象の登場人物が、己の利害のままに動き回り、ストーリーは二転三転。ミョンフェの父が認知症で、母とは財産をめぐって暗闘していたり、政治家同士の足の引っ張り合いなど、とことん濃厚な人間関係。流れる血の量もはんぱではありません。やはり、人間は欲得という本能に忠実なんだととことん納得させられそう。神の視点をもつ観客からは、そんな馬鹿なことをしなくてもと思う行動をしてしまう登場人物たちをみると人間の愚かさをもわからしてくれます。

 ただ、終盤のジュンシクの考えが今一つわからなかったことと、いくらなんでも警察の捜査がずさんだという韓国映画あるあるは、徹底的にのめりこませるまではいきませんでした。それでも、韓国映画特有の緊迫感あふれるサスペンスなので十分見ごたえはありました。
posted by 映画好きパパ at 06:55 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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