2020年07月13日

カセットテープ・ダイアリーズ

 人生を変えることもある音楽の力をまざまざと感じさせてくれる青春映画。ブルース・スプリングスティーンの名曲が随所で流れ、イギリスの青春音楽映画は本当に当たりが多いですね。

 作品情報 2019年イギリス映画 監督:グリンダ・チャーダ 出演:ヴィヴェイク・カルラ、クルヴィンダー・ギール、ミーラ・ガナトラ 上映時間117分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2020年劇場鑑賞112本目



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 【ストーリー】
 1987年、イギリスの田舎町ルートンに住むジャベド(ヴィヴェイク・カルラ)は高校に入学した。パキスタン移民の子供で、町には移民を嫌う人たちもいるうえ、厳しい父親のマリク(クルヴィンダー・ギール)はパキスタンの伝統に従わせ、ひたすら勉強するように指導し、女の子に近づくことを許さなかった。

 学校で浮いていたジャベドだが、シーク教徒の同級生ループス(アーロン・ファグラ)から人生を変える曲だといわれて、ブルース・スプリングスティーンのカセットを借りた。すると、自分の状況にボス(ブルース・スプリングスティーン)の歌がぴったりあっており衝撃を受ける。ブルースのように苦難があっても前向きに生きようとするジャベドの人生は好転していく。だが、マリクをはじめとする家族にとり、アメリカ音楽にかぶれるというのは信じられないことだった…

 【感想】
 イギリスの作家、サルフラズ・マンズールの自伝。移民問題を背景に、家族の葛藤、将来の夢、初恋といったティーンエイジャーならではの成長物語を、ボスの音楽によって軽快に描いています。はらはらどきどきしながら、ユーモアもたっぷりに、そしてしっかり感動させるストーリーテリングもうまい。

 移民は出身国の文化を重視し、移住先の文化に慣れない人も多く、特にパキスタンのイスラム教徒の一家ですからそこは厳格です。しかし、感覚としては他のイギリスの少年と変わらないジャベドは、パキスタンの民族音楽よりも西洋のロックを好みます。パキスタンの文化では結婚前の恋愛は禁止で、結婚相手は親が決めますが、ジャベドは同級生のイライザ(ネル・ウィリアムズ)に恋をしています。

 また、イギリスに移住しても貧しい自動車工であるマリクは、息子にしっかり勉強して不動産屋や会計士といった儲かる職業についてほしい。でも、ジャベドは作家志望です。親のいうことを聞くのが当たり前の文化で育った親世代からすれば、親に反抗する息子は信じられないでしょう。でも、幸いなことにマリクも妻のヌール(ミーラ・ガナトラ)もがちがちのイスラム教徒ではありません。ユダヤ人が勤勉だとして、ユダヤ人のように勉強しろといいます。また、子供の親友がシーク教徒でも全然気にしません。

 むしろ、イライザの両親で金持ちの白人のほうが、一見平然としながらもアジア系への蔑視は隠しませんし、町を歩いているだけで、不良にパキに帰れと襲われるなど、イギリス側にもひどい人がいっぱいいます。そんなか、世の中を純粋にみられ、不公平なことにはおかしいと怒るジャベド。以前は弱虫でいわれるままだったのが、ボスの音楽が彼を勇気づけて、どんどん前向きに歩けるようになるのは本当にみていてほほえましい。フードコートに不良に絡まれたとき、大声でボスの歌を踊って、相手を撃退するっシーンなどは拍手を送りたくなりました。

 さらに、ジャベドは前向きに歩いていくうちに、自分をここまで育ててくれたマリクの苦労というのがわかってきます。少年から青年に成長したということなのでしょう。イライザとの関係もそうですし、極右がモスクを襲った事件で、地元新聞のアルバイトとして働くなど、自分の夢へ向かっても進みだしていきます。こんな青春を送れるなんてうらやましい限りです。

 ユーモアもたっぷりで、当時ですらブルース・スプリングスティーンは過去の世代と思われていたのが、ジャベドの親友マット(ディーン=チャールズ・チャップマン )がボスのポスターをみて「ビリー・ジョエルかい?」と素っ頓狂なことをいわれたり、イライザから「スプリングスティーンなんてレーガンの音楽でしょ」と突っ込まれたり、思わずニヤニヤしてしまいました。また、ボスの曲を聞いたら衝撃で、歌詞が飛び出してジャベドの周りをぐるぐる飛び交ったりする演出も楽しい。

 僕も学生時代にスプリングスティーンのCDを買ったのですがどっかへ亡くしたのに、本作を観た後、興奮のあまり、映画館の売店でサントラを買ったほど。僕は英語が苦手なのですが、ボスの音楽は歌詞が重要なので、ちゃんと理解できればなあとしみじみ思いました。
posted by 映画好きパパ at 07:56 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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