2020年07月14日

のぼる小寺さん

 予告編からよくある青春ラブコメと思いきや、ひたむきにボルダリングに打ち込む主人公に、いろいろ問題があった周囲が前向きに感化していく青春群像劇。心にじんわりしみこみます。

 作品情報 2020年日本映画 監督:古厩智之 出演:工藤遥、伊藤健太郎、鈴木仁 上映時間101分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2020年劇場鑑賞113本目



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 【ストーリー】
 高校生の近藤(伊藤健太郎)は卓球部に入ったものの、これといって打ち込めることも将来の夢もなく、惰性で過ごす日を送っていた。最近気になるのが、同じ体育館で部活をしている、クラスメートでクライミング部の小寺(工藤遥)だった。失敗しても一心不乱に壁を登り続ける彼女に、だんだんと目が離せなくなり、ついに授業時間でも目が離せなくなるほどに。

 小寺のことを気にかけているのは近藤だけでなかった。クラスのいじめられっ子四条(鈴木仁)はクライミング部に入る。不登校の派手な女生徒・倉田(吉川愛)、カメラが趣味のことを人にいえない田崎(小野花梨)といった面々も、小寺のひたむきさが気になるようだ。そんなことも気にもかけずに、小寺は今日も練習に打ち込んでいる…

 【感想】
 一生懸命、何事かに打ち込む姿はとても美しい。だけど、それができない僕のような人間はついつい斜に構えてしまいます。近藤や田崎も最初はそうでした。そんな彼ら、彼女らを小寺さんはただ存在するだけで変えていきます。こんな友人がいるだけで、青春というのは素晴らしいといえましょう。

 元モーニング娘で戦隊モノのヒロイン経験もある工藤の身体能力は素晴らしくい。彼女が登る姿、そしてどう登ろうか考え集中する姿というのはエロスとは違った意味での美を堪能できます。これは男女を問わず、小寺さんに引き込まれていくのもむべなるかな。上る小寺さんを見つめる彼ら、彼女らの視線の意味も次第にかわっていくところがいい。

 吉田玲子の脚本と古厩監督の演出が冴えているなと思うのは、主要キャラ以外の生徒たちも、本当にそういう生徒が実在するかのように、存在感をみせていること。クライミング部の先輩たち、卓球部の仲間たちも、彼らが何を考えどう動いているのかがわかりますし、配役すらないモブキャラが一言二言話すことにもしっかり意味を持たせています。本当に無駄な登場人物がいないというのはすごいことです。

 さらに、それまでの積み重ねがいかせるラストカットの本当に美しいこと。思わず胸が高まりました。それまで小寺を見つめる周囲の心情が描かれていたのに、それがラストになって反転するみごとさには拍手を送りたいほど。

 上映前に工藤と古厩監督のメッセージが流れます。これがまたいい。特に監督が、撮影がコロナ前だったので、当時がいかに素晴らしい世界だったかがわかるというのに、心底同意しました。この映画の尊さは、単に内容が素晴らしいだけでなく、そうした失われた時代の記憶をもよみがえらせてくれるからかもしれません。
posted by 映画好きパパ at 06:39 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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